鉄人とタッグで初のトリプルスリーだ! FAで阪神入団が決まった糸井嘉男外野手(35)が23日、京セラドーム大阪でオリックスのファンフェスタに参加。古巣に別れを告げ、金本知憲監督(48)に弟子入りして「40発打法」を学ぶ考えを明かした。トリプルスリーへ、30本塁打が唯一未到の領域。広い甲子園で柵越えを量産する極意を教わり、真の超人を目指す。

 糸井の目が少年のような輝きを放った。「それは金本さんに教えてもらって。僕が知らないことをたくさん知っておられるし。ああいう40発を打った人に教えてもらいたい」。かねて口にしてきた本塁打増産計画についてだ。甲子園の名物浜風を切り裂くようなアーチを放つ。そのための技術を指揮官からレクチャーしてほしいと希望した。

 FA交渉の席でも本塁打の話題で盛り上がった。今月11日、金本監督が出馬した初交渉で糸井は「もう少し打ちたい」と明かした。通算476本塁打を誇る指揮官は、05年に阪神のユニホームを着て40発のアーチを放った。当時、日本ハムに入団して間もなかった糸井にも鮮烈な記憶として残っている。

 トリプルスリーへ、最後のハードルが本塁打だ。今季は全143試合に出場して打率3割6厘、53盗塁を記録。だが本塁打は17発だった。過去13年のプロ野球人生でも30発以上を放ったシーズンはない。しかも来季は左打者に逆風の浜風が吹く甲子園が本拠地で、1発の量産は一層難しくなる。だが金本監督の技術と思考を学べば、倍増も夢ではない。自身がまだ記録していないトリプルスリーの可能性もグ~ンと広がる。

 この日はオリックスのファンフェスタに参加。主役は紛れもなくオリックスのユニホーム姿が最後になる糸井だった。「糸井、今までありがとう~」と温かい声援が飛び交い、「ITOI」と書かれたフラッグがはためいた。自身のバットにサインしてファンに手渡す場面もあった。「今日、正直来ていいのか考えていて…。ほんとにありがたい。4年間、どんなときも応援してくれて、旗とかの応援は僕の中で忘れません」。36歳シーズンのトリプルスリー達成で真の超人へ。笑顔で送り出してくれたオリックスファンのためにも、パワーアップした姿を甲子園で見せる。【桝井聡】