泥だらけの人生が絵本になる。今季2000安打を達成し、チームの25年ぶりリーグ優勝に大きく貢献した広島新井貴浩内野手(39)を題材にした絵本「新井貴浩物語 がむしゃらに前へ」が12月10日から発売される。小学生時代を中心に「不器用な人間」を自負する新井の半生が描かれている。小学生にも親しみやすい絵本で、真っすぐ生きる大切さを伝える。

 あのアライさんが、絵本になった。不細工でも真っすぐに、がむしゃらに。泥だらけになって歩んできた半生だ。小学生にもわかりやすいように、絵本の形式をとり、58ページのオールカラーで構成された。「絵本というのはあまり聞かないよね。小さい子に読んでもらえればいいんじゃないかな。何かを感じて、楽しんでもらえれば」と新井はうれしそうに語った。

 きっかけは恩師だった。児童文学作家の中野慶氏が、新井の小学3年生時の担任の仏園弘修氏と知り合い、話が進んだ。「先生は印象に残っている。厳しくて優しい方。自分では小さい頃、どういう人間だったかは客観視出来ないけど」と新井。阪神時代を含め連絡を取り続ける恩師が、幼き日の新井が何を考え、どう行動していたかを紹介して物語を構成していった。

 新井の人柄、人望の厚さは誰もが認めるところ。「単にプロ野球選手の成功物語ではなく、1人の子どもが大人になるまでの成長を描いている。読み聞かせたり、子育ての参考にしていただきたい」と編集担当者も説明。南々社のホームページなどで注文を受け付ける。絵本という新井さんならではの“勲章”を胸に、走り続ける。【池本泰尚】