岩手出身の楽天銀次内野手(28)が、復興の意味を込めて「大谷撃ち」を誓った。1日、嶋とともに8月に起きた台風10号の被災地である岩手・岩泉を慰問した。岩泉小学校、役場などを回る中、2人が特に言葉を詰まらせた場所は、同地域にある「楽天イーグルス・岩泉球場」だった。フェンスは傾き、グラウンドは荒れ果て、球場を囲む木々は倒れたまま。銀次は「自分が9月に来た時と変わっていない。本当に残念な気持ちですが、野球選手として活躍して、元気と勇気を与えられたら」と言葉に力を込めた。

 目線の先には、地元での戦いを捉えていた。来年5月17日に、岩手・盛岡で楽天-日本ハムが開催される。特に同郷の後輩との戦いに、胸を躍らせた。「せっかくなら、大谷も投手として投げて欲しい。もちろん打って勝ちます」。今季は6打数1安打と封じ込まれたが、「投手・大谷」を打ち負かし、会場を盛り上げるつもりだ。

 地元民にとってみれば、これほどうれしい組み合わせはない。町民会館にはこの日の午後2時の時点で、25人が避難しているとの張り紙が掲示されていた。一部道路は、通行止めとなっている。復旧はまだ進んでいない。嶋が「もう1度、楽天が優勝することで東北の人に元気を与えられる」と言えば、銀次は「何とか復興の力になりたい」と、うなずいた。東北人として、みんなの元に笑顔を届けたい。【栗田尚樹】