V字回復の新井さんがますますブイブイ言わせる! リーグMVPに輝く活躍で優勝に貢献した広島新井貴浩内野手(39)が15日、マツダスタジアム内の球団事務所で契約交渉し、5000万円増の年俸1億1000万円+出来高でサインした。広島復帰した14年オフに年俸2億円から2000万円に大幅ダウンしたが、3年ぶりの大台突破。40歳となる来季も泥にまみれると張り切った。

 充実した1年の最後に、大きなご褒美が待っていた。契約を更改した新井は、会見場で満面の笑みを見せた。3年ぶりに大台を突破した来季年俸だけでなく、2年前のオフに拾ってもらった球団から感謝と慰労の言葉をもらえたことがうれしかった。

 「こちらこそありがとうございます。来年もしっかりと頑張りますという気持ち。本当、みなさんのおかげで素晴らしい1年にしてもらいました。記録にも、記憶にも、両方残る1年になりました」

 2000安打と300本塁打を達成。25年ぶり優勝に貢献し、ベストナインとМVPを受賞した。優勝パレードも味わった。充実感のある1年も、新井の心はまだ満たされていない。「あれだけ喜んでもらったら、また喜ばしてあげたいと思う。逆に燃えています」。優勝決定の瞬間のスタンドやパレードで涙を流す姿に、8年ぶりの復帰で温かく迎えてくれたファンへ恩返しの思いをさらに強くした。

 来年1月で40歳を迎えるが、気力体力ともに充実している。同日更改したベテラン捕手石原も「新井さんにはぜひ50歳くらいまでやっていただきたい。まだまだ体が元気と豪語しているので」と笑いながら打ち明けた。12月は筋力トレーニングで追い込み、1月には護摩行で精神強化。春季キャンプでも、これまでと変わらず早出や居残りを行うつもりでいる。

 「(現役を)できるだけ長くと思っていない。黒田さんじゃないけど、1年1年。再来年のことなんて考えられない」と言い、「40歳になりますけど、泥だらけになって、必死になってプレーするだけ」とこれまで通りのスタイルでチームを引っ張ると誓った。

 鈴木清明球団本部長は、年俸1億円回復に「ここまでチームをまとめ上げて、しかも自分の成績を残してくれた。(黒田氏と)投打の2人で優勝に導いてくれた。存在として大きかった」と説明。交渉でも「新井君がいたから優勝できました、新井君のおかげです」と伝えたという。不惑を迎えても燃える新井さんが、来年も広島の先頭に立って走っていく。【前原淳】(金額はすべて推定)

<新井バラ色の1年>

 ◆メモリアル 4月26日ヤクルト戦(神宮)で通算2000安打、8月2日ヤクルト戦(神宮)で通算300本塁打を記録。

 ◆MVP 11月28日のNPBアワーズで最優秀選手賞を受賞。39歳はセ・リーグ最年長。会場では盟友黒田から「思い切りガッツポーズしろとか、帰ってきたら胴上げしてやるとか言っていました」と祝福される。

 ◆絵本 新井を題材にした絵本「新井貴浩物語 がむしゃらに前へ」が完成し、10日に発売された。小学校時代を中心に「不器用な人間」を自負する新井の半生を、切り絵作家の吉田路子氏が描いた。

 ◆家庭教師のアライ 伸び悩む堂林から弟子入りを志願され、コーチからの要請もあり快諾。恒例の護摩行にも帯同する予定。

 ◆かかって来い 緒方監督が鈴木誠也の4番起用構想を明かすと「かかって来いという気持ちが半分。もう半分は本当に打ってくれと。若い選手が台頭してくればカープにとってすごくいい」と真顔で受け止める。

 ▼新井が1億1000万円で契約更改。阪神時代の14年(2億円)以来、3年ぶりに1億円以上となった。15年の広島復帰時、年俸は2億円から90%ダウンの2000万円に。90%以上の大減俸を経験して1億円以上に復活した例は、近鉄時代に最高5億円だった中村紀洋が07年、中日と400万円で育成契約し、楽天時代の10年に1億5000万円となって以来2人目。新井は来季40歳だが、40歳以上での1億円復帰は山崎武司(楽天)が40歳の08年に4年ぶりの大台となる1億8000万円で契約した例がある。