優勝戦士のエキスを吸収し、あの錦織さんのように羽ばたく! 阪神ドラフト5位JX-ENEOS・糸原健斗内野手(24)が4日、島根・松江市の母校、開星で練習を公開。昨年12月には金本監督も通った広島市内のジム「アスリート」で、2度のミニ合宿。日本ハム中田や広島新井、丸らとトレーニングをともにした。郷土の英雄で、世界を相手にするテニス錦織圭(27=日清食品)に続く意気込み。セ・パ両リーグ覇者の主力の練習を目に焼き付け、1年目のシーズンに臨む。

 V戦士たちのエキスを糸原は吸収していた。昨年12月5日。大阪で行われた新入団発表会終了後。糸原が向かった場所は、社会人野球チームの本拠地横浜でもなく、故郷の島根でもなく、広島だった。金本監督も現役時代に肉体を鍛え抜いたトレーニングジム「アスリート」での肉体改造。そこで思わぬサプライズが待っていた。

 「アスリートでずっとトレーニングしていました。(日本ハム)中田さん、(広島)新井さん、丸さんとか。一緒に筋トレして追い込んでもらいました。すごかったです」

 12月6日から5日間、さらに同24日から6日間と計2度の短期合宿。その期間中、偶然にも日本ハム中田、広島新井に丸ら、セ・パ両リーグの覇者たちがジムに勢ぞろい。筋力トレーニングに励んでいたのだ。あいさつを済ませると、練習に誘われ、二つ返事。話し込む時間はなかったが、一流選手たちと貴重なひとときを過ごした。

 V戦士たちと鍛え抜いた成果は早くも現れている。「下半身を大事にしているんで下半身を中心にやってきました」とバーベルを背負ってスクワットを行う「バーベルスクワット」を重点的に行ってきた。結果、これまでの150キロから10キロアップの160キロを持ち上げるまでに成長。糸原も「筋力はついてきました」と自信を深めている。

 「内野はどこでも守れる。(一塁も)やったことないですけどできます。(外野も)チャンスがあれば。どこでもできるようにしていきたい」

 目標の開幕1軍入りへ。転がってくるチャンスは全てものにするつもりだ。さらに競技こそ違うが、地元島根が生んだスーパースター、男子テニスの錦織圭に続く活躍も誓った。「島根の出身ですごい選手。僕もそういう選手になりたい」。パワーアップした糸原が織りなす美技が、いつの日かエア・ケイならぬ、エア・ケントと呼ばれるかもしれない。数々のスター選手たちを手本に、糸原が1年目に臨む。【梶本長之】

 ◆糸原健斗(いとはら・けんと)1992年(平4)11月11日、島根・雲南市生まれ。大東西小2年から野球を始めた。大東中から開星(島根)では甲子園に3度出場。明大では3年時に三塁手でベストナイン。15年からJX-ENEOSでプレー。トレーニングジム「アスリート」には開星時代から通っている。175センチ、78キロ。右投げ左打ち。