巨人高橋由伸監督(41)が9日、ルーキーに「スローペースのススメ」を説いた。新人合同自主トレ初日を視察するため、川崎市のジャイアンツ球場を訪問した。目の前でアピール合戦が始まるかと思いきや練習は平穏だった。ドラフト1位の吉川尚輝内野手(21=中京学院大)も軽めの送球に終始していたが、指揮官は意に介さず。新入団選手には「オーバーワークにならないようにしてほしい。環境が変わるので体調を崩さないように。(キャンプインに)ヨーイドンで(力を)出してくれればいいから」と訓示した。

 19年前の経験則がある。入団1年目の新人合同自主トレでは、気合十分で迎えた初日のトス打撃で初球を空振り。その後も期待に応えたいと自然にペースが上がって体調を崩して離脱。調整が狂い、春季キャンプは2軍スタートとなった。そこからきっちり仕上げて開幕スタメンに名を連ねこそしたが、「風邪をひいてめちゃくちゃ(報道で)たたかれたよ」と苦笑いで回想。「キャンプまで時間がある。少し慣れるためにも今が大事」と、万全でキャンプインを迎えさせるためにスロー調整を容認した。

 指揮官の“親心”は伝わっている。吉川尚は「緊張して体が硬かったので軽めで投げた」と説明。「たくさんメディアの方が来ていて緊張感があった。まずはこの環境に慣れること。ケガをしたら何をしに来たのか分からない」と意識は高かった。今は過剰なアピールは不要。じっくり仕上げ、2月1日から期待通りの実力を示す。【浜本卓也】