ファンサービスも即戦力や! 阪神ドラフト1位の大山悠輔内野手(22=白鴎大)が、新人合同自主トレの第1クール最終日となった10日、練習後に自らの意思で即席サイン会を実施した。ルーキーが新人合同自主トレ中にサイン会を行うのは異例で、集まった50人の虎党のハートをわしづかみした。

 新人合同自主トレの第1クール最終日。練習後のことだった。大山が球団関係者に質問した。「どこでサインしたらいいですか?」。他の新人選手が寮へ引き揚げる中、ドラフト7位の長坂とともに別方向へ歩みを進めると、立ち止まったのは、練習を見に来たファンが待ちわびる場所だった。色紙やボールなどを出す虎党50人に対して「即席サイン会」を実施すると、ひとつずつ丁寧にペンを走らせた。

 気温が10度にも届かない鳴尾浜球場。当然、見続けるファンも寒いはずだ。「自分たちは体を動かしているので寒くはないのですが、自分たちの練習を見に来てくれるファンの方々は寒い中、待ってくれている」。新人が合同自主トレ期間中にいきなりサイン会を行うのは異例で、約15分とはいえ、虎党の心を温めるひとときになったに違いない。入寮して、まだ5日。慣れない環境下での新生活に「疲れはありますが…」と話すが、平日の寒い日にもかかわらず、足を運んでくれたファンの存在が気になっていたようだ。神対応で虎党をさっそく笑顔にしてみせた。

 もちろん、ファンとの交流はこの日だけで終わらせない。「これからもファンにサービスをしていかないといけないと思っています」。この日は前日に引き続き室内でティー打撃を行った。黙々と打ち込む後ろでは、昨年新人王を獲得した高山がマシン打撃に取り組んでいた。「自分のことで手いっぱいでした」と話す通り、まだ余裕があるはずもない。ただ、分かってもいる。新人王を狙う大山にとっても、最大のファンサービスがグラウンドでの活躍であることを。ファン対応も一線級のルーキーは、実力でも虎党を喜ばせてくれるはずだ。【山川智之】