世界一奪還ローテだ。第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、1次ラウンド初戦となる3月7日のキューバ戦に先発が内定している大谷翔平投手(22)に続き、翌8日のオーストラリア戦に菅野智之投手(27)の先発が濃厚であることが15日、分かった。ともに中6日で2次ラウンド第2、3戦に先発すれば、準決勝、決勝にも余裕を持って投入できる。本格派2枚を両輪に世界へ挑む。

 大谷&菅野。日本野球が誇る最高のコンビを前面に押し出し、頂を目指す。短期決戦は生き物で、自軍の調子や力量を見極め、いかに臨機応変に青写真を崩せるかが勝ち抜くための真骨頂とも言える。しかしスタート地点として、2人を軸に回す青写真を描くことは、どう切ってもベストの選択と言える。

 3月7日のキューバ戦は1次ラウンドのヤマであると同時に、大会全体を占う大きな試合になる。力勝負のできる大谷は開幕投手に適役な上、投手としての出番を早くすることで、同じく大きな期待のかかる打撃の調整にも余裕が生まれる。翌8日のオーストラリアも油断のできない相手。ここに安定感抜群の菅野をぶつけ、2連勝を決める。

 菅野には、あらゆるタイプの打者に対応できる柔軟さがある。制球抜群の印象が強いが、昨季189奪三振はリーグトップ。ここ一番の直球に力があり、狙って三振を奪える能力は日本球界屈指。強打、巧打とバリエーションに富むオーストラリア打線にも、リードを許さないゲームメークが期待できる。侍ジャパンの投手陣は、左右、本格派、技巧派、変則と個性豊かな面々がそろう。本格右腕の後を受け、バリエーション豊かな継投が可能となる。

 小久保監督はじめ首脳陣には、中4日の登板を避け、万全の状態で先発投手を送り出したい意向がある。3月12日の2次ラウンド初戦は他の仲間に託し、大谷と菅野が中6日で2次ラウンド第2、3戦に先発すれば、万全の中6日以上で準決勝、決勝に挑める。

 世界一奪還は、球界全体の宿願でもある。小久保監督はこの日、宮崎で行われた名球会イベントに参加。球史に名を刻んだ金看板たちから激励された。「山田(久志)さんからは、投手のことをいろいろ聞きました。1次、2次ラウンドはいいとしても、準決勝、決勝での投手の使い方を。衣笠(祥雄)さんからも話を聞いたり。みなさんから、いろいろなアドバイスをいただきました」と感謝した。日本野球の英知を結集して挑む頂点へのシナリオ。そのど真ん中に大谷と菅野がいる。