歓喜のジャンプを披露する-。日本ハム栗山英樹監督(55)が「珍公約」を掲げた。15日、札幌・宮の森ジャンプ競技場で行われたノルディックスキー・ジャンプ女子W杯札幌大会のテレビ中継にゲスト出演。18年平昌五輪プレシーズンに、激しい争いを繰り広げる女子ジャンパーたちの姿に刺激され、2年連続で日本一を達成した際は、26年ぶりとなるジャンプ挑戦を約束した。

 常に挑戦心あふれる栗山監督が、自らにプレッシャーをかけた。競技終了後、ジャンプ台を見つめながら言った。「日本一連覇したら荒井山飛ぶよ。俺、北海道の選手を勇気づけるために」。荒井山ジャンプ競技場での思い出を語るうちに、罰ゲームさながらの公約をぶち上げていた。

 ジャンプ経験は1度ある。92年1月にテレビ番組の企画で荒井山のスモールヒル(K点25メートル)を飛んだ。元五輪選手の秋元正博氏(60)指導のもと、練習を重ねて空へ飛び立った。記録は「3メートルくらいだったかな」と笑うが「すごい怖かった」と、恐怖心に打ち勝った。来年の今頃は、重圧がかかるシーズンの戦いを終えている。もちろん連覇しているイメージしか持っていない。平昌五輪直前。4年に1度の大舞台を控える選手への激励を込めるつもりだ。

 公約実現のために、非情采配も辞さない。この日の大会では、エース高梨が今季初表彰台を逃し、伊藤が日本勢最高の2位に入った。日本女子の2枚看板といった様相に、大谷と中田「ON」の姿を重ねていた。「翔らしい数字が残らなかったら使いませんよ、ってこと。求めるものが高いからね」と、場合によっては4番を剥奪する可能性も口にする。大谷、中田がしっかり機能することが、2年連続の歓喜につながると考える。

 イメージトレーニングは完璧。「(着地で)テレマークも入れるよ。(スキー関係者に)怒られちゃうかな」と、両手を広げてポーズをとる。年を重ね56歳、26年ぶりに大空に羽ばたく姿を、北海道民が待ち望むことになる。【保坂果那】

 ◆荒井山ジャンプ競技場 1929年(昭4)に札幌市中央区宮の森に木造でつくられた同市最古のジャンプ台(当時は40メートル級)。現在は03年改修のミディアムヒル(K点55メートル)、スモールヒル(同25メートル)の2つがある。