「ダルビッシュ道場」でニュー藤浪や!! WBC日本代表に内定している阪神藤浪晋太郎投手(22)が17日、兵庫・西宮市の鳴尾浜球場で今季初めてブルペンで投げ、17年型の新しい投球フォームを披露した。昨季に比べて左肩を内側に入れすぎず、シンプルに打者と正対し、前方移動する形だ。昨年12月、米大リーグのレンジャーズ・ダルビッシュらと都内で自主トレ。一流のヒントを生かし、逆襲の1年にする。

 静かだった。それでいて197センチの長身以上に大きく映る。今季初のブルペン入りで、藤浪が様変わりした姿を披露した。「グイーーン」と後方に引っ張られるような左腕のさばきが消えていたのだ。左肩は内側に入らず、無理にねじるような動きがない。真っすぐ打者と向き合って投げる。力みもなく実に自然体なのだ。藤浪も深くうなずく。

 「左の使い方も変わりましたね。シンプルに、左肩が入りすぎないように。入ると、どうしても開きやすくなる。意識しています」

 昨季は7勝にとどまり、2桁勝利は3年連続で途切れた。投球動作も試行錯誤。袋小路に迷い込んだ1年だった。冷静に見つめ直したという。「去年はいろいろ考えすぎた。無駄な動作を削るのは投球フォームで一番大事」。鍛え上げた下半身もスムーズに打者へと向かっていく。右足でスクッと立って、すとんと左足を落とす。昨年12月、ダルビッシュらと都内で行った合同自主トレの成果だった。

 「いろんな投手の方がジムにおられて、いろんな話を聞いて、いろんな勉強をさせてもらった。一流の投手の意見を参考にしながらやっていきたいですね」

 日米球界トップの極意に触れる、貴重な時間を過ごした。ヤンキース田中と話し込み、楽天則本や日本ハム大谷らと汗を流した。一流からヒントを得て、この日の初投げでも好感触だ。

 「安定している。下半身も上半身もしっかりやってきた。バランスよく投げられた。しっかり体全体、締まっている。まだ10割の力ではないですけど、現時点でいい感じで使えている」

 この日は横川ブルペン捕手を立たせて55球。カットボールなど変化球を試し、2月のキャンプインまでに精度を上げていく。3月のWBC公式球で感覚をチェックした。試運転でも、状態の良さが際立った。日の丸の刺しゅうを刻み「17」と入ったスパイクを使用。早くも侍モードか。「スパイクが今日は、たまたまなかった。恥ずかしい。岩貞さんに憧れて、17番を使いました(笑い)。あんまり使いたくなかった…」。背番号17の先輩岩貞をネタにジョーク締め。明るさ全開のニュー晋太郎に、エース復活の兆しが漂う。【酒井俊作】