大山は今岡さんや!! 阪神金本知憲監督(48)が19日、今季初めて鳴尾浜を訪れ、ドラフト1位大山悠輔内野手(22=白鴎大)の打撃を初めてナマでチェックした。第一印象から絶賛の嵐で、クリーンアップ候補として大きく育てる方針を再確認。柔らかいバットのさばきや左足の上げ方を見て、現役時代に最強コンビとして優勝に導いた今岡2軍コーチの打撃に重ねた。

 ダイヤモンドの原石を見つけた思いだった。金本監督が心を躍らせたのは鳴尾浜の室内練習場で、ルーキー大山が打撃マシンを打ち込む姿を見たときだった。

 「(見るのは)ホント初めて。映像とスカウト報告だけだった。スイングの完成度は今から覚えることはいっぱいあるけど、柔らかいね。聞いていた通り、実戦向き。対応力がありそう」

 シュアなバットのさばきや間合いをはかる左足の上げ方を見て、現役時の戦友と重ね合わせた。自ら切り出す形で「今岡さんに似てるね。タイプとしては。足の上げ方とかね。案外感覚派で、何も言わないほうがいいのかもしれない」と指摘した。03年の首位打者で05年は球団歴代最多の147打点をマークした打点王の今岡になぞらえた。

 昨秋ドラフトはサプライズの1位指名で一本釣りだった。大学日本代表の4番の能力を買って獲得を決断した。目に狂いはないか…。ようやく実現したナマチェックでも見初めた。

 「もう少し下半身がドッシリしてきたら、確率も上がるし、飛距離も、まだまだ飛ばせると思う。体の強さは正直ないけど、強さはいまからつけるから。(体力不足は)織り込み済み。慣れと強さで打つわ! と思うよ、俺は」

 好素材を前に、長距離砲育成の意を強くした。「クリーンアップよ。うちに必要なね。何年、大砲が出ていない?」とたたみかけた。生え抜きで30発以上放った日本人は35本塁打の85年岡田以降、31年間も出ていない。だからこそ「大きく育てたいし、可能性は持っていると思う」と言う。

 大山は「まだまだ足りないところがたくさんあります」と気を引き締めた。ただ、打撃で最も大切なポイントを「タイミングです。いくら力強くスイングしてもタイミングが合わなかったら当たらない」と強調する。かつて全盛期の今岡は投手の球を自らの懐に引き込んで打つ「間合いの鬼」だった。くしくもスタイルが重なった。【酒井俊作】

 ◆大山のここまで 6日の入寮時に、2種類の赤色グラブを持ち込む。手袋や練習着も赤を使用し、新庄剛志や赤星憲広のように赤をトレードマークにする意欲を示した。13日に視察した掛布2軍監督は室内でのマシン打撃を見届け、スイングの軸回転が日本ハム中田翔より「もっときれいに回る」と高評価。18日に視察した高代ヘッドコーチは、打力のある三塁手としてソフトバンク松田と比較。「そうなるに越したことはない。目標は高く持って欲しい」と激励した。

 ◆金本と今岡 03年に金本が阪神にFA加入すると、1番今岡、2番赤星、3番金本の打線が組まれ、18年ぶりのリーグ優勝に導いた。今岡は打率3割4分で首位打者、金本はつなぎの打撃に徹した。05年には4番金本、5番今岡でクリーンアップを形成。金本が125打点、今岡が147打点と荒稼ぎし、2年ぶりリーグ優勝。今岡は打点王で、40本塁打の金本はMVP。12年にともに現役引退。15年オフに金本が阪神監督に就任すると、今岡に入閣を要請。同じユニホームを着ることになった。