遊撃戦争に新たな刺客だ。阪神金本知憲監督(48)が20日、兵庫・西宮市の鳴尾浜球場で若手の自主トレを視察。プロ2年目・板山祐太郎外野手(22)の遊撃挑戦を本格的に進めるプランを明かした。春季キャンプでは、レギュラー定着に期待のかかる北條と復活を目指す鳥谷の対決に注目が集まるが、思わぬ伏兵の出現でバトルが過熱する。

 マッチレースかと思われた遊撃争いに、新たな展開だ。金本監督が2日連続で視察のため、鳴尾浜球場を訪れた。高山、北條、板山たちが室内練習場で打撃練習を開始すると、自ら足を運んだ。マシン打撃終了まで、練習風景をじっと見つめた。「体ができている感じだ。一回り大きくなって…、そういう意味では楽しみ」。若虎の自主トレの成果に目を細め、続けざまに、1人の名前を挙げた。

 「板山が一番伸び幅があったんじゃないかな。3人の中では。(打撃の)当たりもスイングも強くなっている。昨年に言った課題をしっかりとやっている」

 指揮官は身体能力と野球センスを高く評価している。秋季キャンプで「あれは化けるかもよ。(筋力は)若い時の俺よりも数倍強い」と絶賛したほどだ。ルーキーイヤーの昨年は出場40試合で打率2割3分6厘。本職の外野の両翼に加え、三塁守備にも就いた。可能性を広げるべく、二塁の守備練習にも力を注いだ。金本監督はさらにオプションを加える考えを明かした。

 「彼は器用だしどこでも守れる。空いている所にスッと入っていかないと。久慈コーチが『ショートをやらせてくれ』と言ってきたし。それもあると思うよ」

 2月の沖縄・宜野座キャンプで、遊撃に本格挑戦させる計画だ。担当コーチの提案もあり、昨年から存在した案がいよいよ実行に移される。実際、2軍発進だった昨年2月の高知・安芸キャンプでは遊撃も守った。だがタイミングが合わず、実戦の出場機会はなかった。だが1度お蔵入りになった遊撃プランが昨秋の高知・安芸キャンプで復活。首脳陣が内野守備力の高さを再評価し、今春は本格的に練習させる方針だ。

 2月1日に始まるキャンプでは、昨年鳥谷から遊撃を奪った北條と復活を期す鳥谷のレギュラー争いに注目が集まっている。だが思わぬ伏兵の参戦で、北條VS鳥谷の一騎打ちは三つどもえの様相だ。北條はますます安穏とできず、遊撃1本で勝負をかける鳥谷にも難敵の刺客登場だ。番狂わせを巻き起こすか。遊撃板山が、金本阪神2年目のサバイバルを一層熱くする。【田口真一郎】

 ◆板山祐太郎(いたやま・ゆうたろう)1994年(平6)3月27日、神奈川県生まれ。成立学園では1年夏から二塁手のレギュラー。亜大2年時に外野手に転向し、東都大学リーグのベストナイン3度受賞。15年ドラフト6位で阪神入団。16年4月22日広島戦で初出場。5月5日中日戦、6日ヤクルト戦と、先発5番を2試合務めた。1年目の昨季は40試合、25安打、0本塁打、5打点、打率2割3分6厘。180センチ、79キロ。右投げ左打ち。