ヤクルト2年目の広岡大志内野手(19)が「山田の教え」で開幕スタメンに前進した。7日の阪神戦に「9番三塁」で先発出場し、オープン戦2度目のマルチ安打。3回に岩田から中越え二塁打、9回はマテオから中前打を放った。同じセ・リーグの一線級投手を打ち砕き、真中満監督(46)から「相手の守護神から打ったし、代える要素がない。(開幕スタメンの)チャンスは十分」と高評価を受けた。

 広岡の強烈な打球が、甲子園の天然芝で跳ねた。9回、バットを高く掲げる山田そっくりの構えから、阪神の守護神候補マテオのスライダーを中前にはじき返した。「真っすぐが速い投手なので、ポイントを前にして対応できた。いろいろ考えながら打てるようになってきた」。3回には岩田の初球の変化球をファウルにして、2球目の直球を捉えた。1月の愛媛・松山での自主トレで山田から「打席で考えろ」というアドバイスを受けた。

 持ち味の豪快なスイングを消さずに、結果を出したかった。1年目の昨季はセ・リーグの高卒新人では56年ぶりとなる初打席初本塁打をマークしたが、2軍戦113試合で141三振。「とにかくガムシャラに振っていた。何が悪いか、どうすれば三振が減るか聞きたかった」。2年連続トリプルスリーの山田に弟子入り。「いろいろ教えてもらった中で『追い込まれたら右方向を狙う意識で、どんな球でも対応できるようにする』とか、ほとんどが打席での考え方だった。僕は必死で、あまり考えていなかった」。WBCへの準備を進める中、惜しみなく指導してくれた先輩の助言を生かした。

 キャンプ中に椎間板ヘルニアのため離脱した川端の開幕戦出場が厳しい状況の中、2月からの実戦全9試合に先発。オープン戦は4試合14打数4安打で3三振と、確実性は増してきた。広岡は「最初に比べれば気持ちの面では成長したけど、技術的にはまだまだです」。3月31日のDeNAとの開幕戦(神宮)で、山田とともにスコアボードに名を連ねてみせる。【鹿野雄太】