センター糸井、開幕OK! 右膝関節炎から完全復活を期す阪神糸井嘉男外野手(35)が実戦復帰後、初めて守備に就いた。敵地DeNA戦に3番中堅で出場。2回には4番ロペスの打球に判断良く、前傾姿勢で走り込んで好捕した。これで走攻守すべての課題をクリア。金本監督の3番中堅構想に狂いなく、万全で開幕を迎えられそうだ。

 難しい打球に見えた。2回。先頭ロペスが放った浅めの飛球に中堅手糸井が猛然と突っ込んだ。センター前に落ちようかというボールを左手グラブでつかみ捕った。実戦初の守備で、初めてとなる守備機会。いきなりゴールデングラブ賞7度を誇る守備範囲の広さを見せつけた。

 糸井 怖かったです。守備に就くことが出来て打球を処理できて良かった。

 試合後、実戦初の守備について真顔で話した。

 決して冗談ではない。瞬時の判断で前傾姿勢に入り、そこからトップスピードで捕球。確かに膝にもっとも負担がかかりそうな打球だった。中村外野守備走塁コーチも「問題なくやってくれた。低い打球でね。あれが一番(見たかった)。安心した」と胸をなで下ろす。大きなハードルを越えた瞬間だ。

 慎重に準備を進めてきた。15日オリックス戦で打席に立ち、「虎デビュー」を果たしたが、守備については慎重だった。右膝への負担も考慮し、試合当日の天候などもチェック。中村コーチは「ここ3日間は気温が高そうだったので」と、横浜がポカポカ陽気に包まれたこの日を選んだ。

 今後は徐々に「数」を増やしていく。この試合は4回裏からベンチに下がったが、キャンプから糸井に付きっきりの本屋敷トレーナーは「ちょっとずつ、守備のイニングや打席数を増やしていけそうです」と見通しを示した。最後に違和感はないか? と問われた糸井は「はい」と力強く言った。今後も東京、千葉、福岡と続く遠征で、守備に就く機会はありそう。完全復活へ、これで走攻守すべての課題をクリア。3番センター糸井が、開幕に向けて着々と準備を進める。【桝井聡】

<糸井の復活ロード>

 ◆右膝負傷 自主トレで右膝に違和感を発症。1月24日、大阪市内の病院で右膝関節炎と診断され、キャンプ2軍発進が決定した。

 ◆打った 2月17日に屋外でフリー打撃を開始。特大140メートル弾など柵越え6本。「ずっと日の当たらないところでやっていたので、気持ちよかった!」。

 ◆守った 3月7日、甲子園の中堅で外野ノックの捕球開始。10日は福留、高山ともノックを受け、今季の外野トリオをお披露目。

 ◆走って滑った 10日の甲子園練習で二塁、三塁へのスライディングを解禁。「100(%)でやっても違和感ない」と全開宣言。

 ◆いざ実戦 15日のオリックス戦に3番DHでFA移籍後初出場。初回第1打席で松葉から中前安打を放つ。「やっとここまで回復したかなという感じ」。残る課題は実戦守備だけとなった。