「デカルト思考」の知性派左腕が、12球団の新人1番星を手にした。楽天ドラフト9位の高梨雄平投手(24=JX-ENEOS)が、1点リードの5回から登板。1イニングを2安打無失点に抑え、プロ3試合目で初勝利を挙げた。哲学者デカルトの書籍を読み、早大時代に投球イップスを克服した経験を持つ。チームの開幕2カード連続の勝ち越しに貢献した。

 冷静さを失った。オッシャーとほえ、左手で右手のグラブを思いっきりたたいた。1点リードの5回2死一、三塁、打者は柳田。カウント2-2から、真ん中低めスライダーで二ゴロに片付け、興奮冷めやらぬ状態で三塁側ベンチに退いた。「柳田さんでしたし、1点もやれない状況。声は勝手に出ました」と無我夢中だった。

 日本ハム宮西、巨人森福の動画を研究して現在の投法にたどり着いた。左打者を封じるため、昨年途中にスリークオーターからサイドハンドに変えた。さらに打者との駆け引きも巧みだ。「打ち気なのかどうか」。相手の動作を見極め、右足の上げ幅やモーションを早めたりしている。1球ごとにコンマ何秒の世界をアレンジする策略家。見事に左の強打者を打ち取った。最後はベンチで松井裕を見守った。「松井(裕)がセーブを挙げて、ボールをもらって俺か? っていう感じで」と、プロ3戦目で待望の白星をつかんだ。