連敗脱出へ、切り札は黄金の左!? ソフトバンク工藤公康監督(53)が17日、ZOZOマリンスタジアム横の室内練習場で今宮健太内野手(25)を相手に約40分間、打撃投手を務めた。抜群の制球力で低めを繰り返し打たせることで打撃フォームを修正。4連敗と苦しむチームの打開を託した。今日18日からロッテ3連戦に臨む。

 工藤監督の声が室内練習場に響く。「ミヤ(今宮)! そう、それだよ」。「あれっ、今のはボール球じゃない?」。通常の打撃練習より短い距離で、指揮官がテンポよく低めに投げてくる。今宮はしっかり下半身を使って打ち返した。フリー打撃の工藤塾は約40分休みなく続いた。

 工藤監督は「下から下から打つことで、見極めもできるし変化球にも対応できる」と練習の意図を説明した。上半身の筋力が強い今宮はどうしても上体だけで打ちにいってしまうことも多い。プロ通算224勝左腕の制球力で低めを打たせ、修正させた。

 指揮官自ら対峙(たいじ)したのは今回が3度目だった。1回目はキャンプ中。2回目は開幕直前にヤフオクドーム室内で行った。その効果か開幕2戦目から5試合連続安打を放ったが、ここ3試合は14打席で1安打と下り坂。打率は2割4分1厘まで落ちていた。オリックス戦(鹿児島)が雨天中止となった前日16日に監督から「やるか?」と誘った。

 開幕から14試合中13試合で1番として起用している。工藤監督は「1番が出るか出ないかで違う。プレッシャーをかけるつもりではないが、あいつには頑張ってほしい。明日(18日)また期待します」と言葉に力を込めた。過去レギュラー5年間で最高打率は13年の2割5分3厘。それでも今宮の潜在能力を大きく買っている。

 チームは4連敗中。それでもチームに重たいムードはない。今宮も「そうだ、連敗中か。忘れてた」と言うほど。今は自分の役割を確実にこなすことに集中している。「いかに塁に出るか。点が入るか大きく変わる。勝つためにも初回に切り込まないと」。工藤監督の愛情を注入された1番今宮が、苦境を切り開く。【石橋隆雄】