メッセの快進撃が止まらない! 阪神ランディ・メッセンジャー投手(35)が中日打線を7回6安打無失点に封じて、開幕4連勝を飾った。走者を出すものの要所を締め、チーム今季初の完封リレーにつなげた。3、4月の月間MVP候補に挙がる来日8年目の助っ人が、ここまで活躍できている裏側には-。酒井記者が独自の視点で、その理由に迫った。

 来日8年目の「年輪」がマウンドさばきに表れていた。のべ25人の打者に対したメッセンジャーにとって、ある意味、もっともタフな場面は3回1死後に迎えた大野だったのではないか。追い込んでからファウルで4度、逃げられる。投げても投げても粘られ、何とか内角高め直球で空を切らせた。要した球数は実に10球。しかも投手相手。軽くひねりたいところで球数を費やし、リズムを乱しかねない状況だろう。

 それでも、今年のメッセンジャーは違う。心は整って、淡々と涼しい表情で後続を断った。試合直後に聞けば「真ん中に投げてもファウルにされて『オイ…』って思ったよ。でも、我慢強く、集中して投げられたね」と明かした。かつて見られたマウンドでイライラし、悪循環に陥る姿は消えた。窮地でも平静を保てるメンタル面こそ、最大の武器だろう。2回1死一、二塁でゲレーロを外角低め直球で二塁併殺打に料理。4回も2死一、三塁で堂上をカーブで遊ゴロに抑えた。

 郷に従うどころか、溶け込んでいる。この日の囲み取材でも「日本語力」がにじみ出ていた。対大野の感想を問う最中に、笑い始めた。いまでは通訳が英語に訳す前に質問の意味を理解するほど、上達しているとも聞いた。異国でもまれ、どんな状況や環境にも対応できる、したたかさ。7回を116球の無失点。立派な力投だが自己評価は厳しかった。

 「投球フォームに苦しんだんだ。投げ急いで、タメがないフォームになった。修正に時間がかかって、7回くらいまでしっくりこなかった。いつも、調子がいいわけじゃないからね」

 本調子でなくても開幕から4連勝にのばし、ハーラー単独トップに浮上。3、4月月間MVPの有力候補にも挙がる。何よりも、長いイニングを投げられるタフさがリリーフ陣を救う。香田投手コーチも「長いイニングを投げてほしいときに、長いイニングを投げてくれる」と感謝し、まさに大黒柱だ。

 最後に余談を紹介する。甲子園で調理される選手のフードメニューは、メッセンジャーの豚骨しょうゆラーメンが15年から2年連続人気1位。今年も開幕からトップを快走中だという。なるほど「チームの顔」だろう。【酒井俊作】

 ◆メッセンジャーの月間MVP 13年7月の1度。5試合に登板し4勝0敗、防御率2・43の好成績だった。なお同年はほかに、5、6月が能見、8月に藤浪と、投手部門で阪神勢が4カ月連続で獲得した。