お前がエースじゃ~! 広島先発岡田明丈投手(23)が7回5安打2失点でチーム単独トップの4勝目を挙げた。前回登板の6日阪神戦(甲子園)では9-0をひっくり返されて敗れた。悔しさを胸に下半身を意識した投球で白星。緒方孝市監督(48)は球数と状況次第では「中4日でもいい」と、頼りになる右腕にエース級の評価を下した。

 無表情の岡田は次の1球に集中していた。7回1死一、二塁。安打と暴投、四球でピンチを背負った。だが悪夢を断ち切るように、代打脇谷に向かっていく。カウント1-2と追い込み、152キロの直球。高めのボール球にバットは空を切った。続く石川も追い込むと、直球で見逃し三振。腕を振って、脱した。

 岡田 ピンチのときほど力が入りやすいので、特に意識した。力まずいく意識でいけた。しっかり打者に向かって投げられた。

 7回5安打2失点で、4勝目。前回登板の6日阪神戦(甲子園)で9-0をひっくり返された悔しさをぶつけた。プロ初のスライド登板も「昨日と同じように入った」とスムーズだった。捕手石原は真ん中に大胆に構え、威力抜群のボールが適度に散った。4回に阿部の2ランを浴びたが「仕方ない。次を抑えようと思った」とすぐにリセット。自分の腕でつかみ取った。

 期待に応えられない悔しさは、あのときと同じだった。大商大1年の時、富山監督に言われた一言だ。

 「どっか行ってくれ。お前を見ると使いたくなる」

 投げては打たれ、結果が出ない時期。フォーム固めが必要だったが、それでも好素材にほれ込んだ富山監督は使いたかった。偽りない本心を、岡田は感じた。「一番悔しくて、一番励みにもなった」。それからは頭もフルに使って練習。岡田の人生が変わった。

 この1週間も考えた。「一番意識したのはバランス」。上体の力が強いため「7対3」で下半身を意識。チームを本拠地6連勝に導いた。緒方監督は「中6で絶対回そうとは思っていない。若いんだし。どんどん投げてもらいたい。中5でも、球数によっては中4でもいい」とエース級の評価を下した。悪夢を振り払った岡田は、また1つ、殻を破ったに違いない。【池本泰尚】