若手の生き残り競争が、虎の快進撃の原動力や! 阪神が、左腕先発のためスタメン落ちした高山俊外野手(24)の勝ち越し二塁打で4連勝。貯金を12として、交流戦前のリーグ戦勝ち越しを決めた。8回の守りから高山を左翼に入れ、好調な中谷将大外野手(24)をベンチに下げた金本知憲監督(49)の采配もズバリ的中。2位広島との差を最大の2・5差に広げた。やることなすこと、うまくいく猛虎。このまま独走しそうなムードが漂ってきた。

 金本阪神が「独走」の離陸態勢に入った。若い力がこの日も推進力になった。8回裏2死二塁。途中出場の高山が打席に入る。初球だ。左腕バルデスの直球をとらえた。ライナー性の打球が中堅手の頭上を越した。「集中して、打席に入れた結果が初球からだったので、よかったと思う」。決勝のタイムリー二塁打に、ベンチも総立ちで盛り上がった。

 5月は10勝2敗と破竹の快進撃が続く。若虎の競争意識が日替わりヒーローを生む。前夜は先制3ランの中谷だった。この日は、その中谷が左腕対策で左翼に就いた。高山がベンチスタートだった。好投のバルデスを一塁側からじっと見つめた。そしてスタメンの同僚に、“取材”で聞いて回った。「準備はしていた」。左対左で対決の可能性は低かったかもしれない。それでも1度のチャンスをうかがっていた。