イニングが進み、首脳陣の「神采配」があった。8回にマテオを起用。延長を見据えれば、9番では打席が回ってくる。金本監督は「中谷を下げてまで」と言った。5番にマテオを置き、9番で高山を使った。その裏、絶好のチャンスで回ってくる。指揮官の頭にふとよぎった。「今日のバルデスはきついか、右の江越…」。その瞬間、矢野作戦兼バッテリーコーチが進言した。「高山でいこう」。その言葉に乗った。ベンチの思惑はピタリと当たった。「矢野コーチのファインプレーですね」。金本監督は笑った。使う側と使われる側が呼吸を合わせ、最高の結果を生んだ。高山は「左右関係なく、ああいう場面で打てたのが、僕にとって大きいかな、と思う」と言った。

 選手のやりくりに苦しんだ昨年から、チームは底上げに成功。二遊間で北條や大和、上本、糸原が争えば、一塁と外野では中谷、高山、原口がしのぎを削る。「毎日、スタメンは悩んでますよ。調子であったり、去年、今年のデータ。守り。基本的には相性とデータ、その日の片岡コーチの直感ですよ」と、金本監督はどこかうれしげだ。2位広島が敗れ、2・5ゲーム差に広げた。4連勝で貯金は「12」。若手からベテラン、そして首脳陣まで、チーム一丸で優勝へとはばたく。【田口真一郎】

 ▼阪神は交流戦開始(30日ロッテ戦)までの勝ち越しを決めた。14年(リーグ戦中断時は25勝19敗)以来、3年ぶり。同年はレギュラーシーズン2位も、CSを勝ち抜き日本シリーズに進出している。