ホークスにはナオ君がいる! ソフトバンク東浜巨投手(26)が7回1失点でリーグトップタイの5勝目を挙げ、チームの連敗を2で止めた。背中の張りでローテを外れた千賀に代わり、今季初の中5日で快投だ。鷹投は和田が左肘手術、武田も右肩違和感で離脱し、守護神サファテも不在の緊急事態。孝行息子が工藤監督公康監督(54)に通算200勝をプレゼントした。

 気持ちが入った直球だった。2回、東浜は清田、ダフィーをいずれも外角直球で見逃し三振。5回に1点を失ったが、7回も志願しマウンドへ。114球で投げ切った。「僕にとってもチームにとっても大きな1勝です」。ホッとした表情でリーグトップタイに並んだ5勝目を振り返った。

 2回に中指に血マメができた。痛み、違和感よりも、普段できない場所にできたことで、つっこみ過ぎていたフォームのズレを修正することができた。「千賀が一番悔しいと思う」。本来、火曜のカード頭を投げるはずの千賀が16日オリックス戦で背中の張りの発症。先発ローテから外れた千賀の思いも背負ったマウンドだった。和田、武田も離脱し先発陣は火の車。守護神サファテも家族の見舞いのため一時帰国中。中継ぎ陣にも疲労が見える中、全てが東浜に託された。

 今季初の中5日。上半身と下半身のトレーニングを2日に分けず1日で行い、週2回入っていたブルペンを1回にするなど調整方法も変えて臨んだ。5四球を出しながらも7回1失点。工藤監督に通算200勝目の白星をプレゼントした。

 12年ドラフト1位。3球団が競合した即戦力大卒右腕も入団2年間で5勝だった。だが工藤監督にトレーニングの重要性を教えられ、鍛えることで昨年初めて1年間先発を守り、9勝を挙げた。「工藤監督には足を向けて寝られない」と感謝する。だが、心酔するだけではなく、反発心も成長の要因となった。

 昨年、夏場に腰を痛めて投げることすらつらい時期があった。シーズン中も厳しい筋力トレーニングを続ける中、腰が悲鳴をあげた。その時、工藤監督から「熱男」ならぬ「腰男」と軽口で呼ばれた。悔しさから反発心に火がつき、しがみついて投げ続けた。指揮官も「東浜は鍛えればもっとすごい選手になる」と期待は大きい。この日の1勝は東浜にとって、大きな1勝となった。【石橋隆雄】