憧れのドームでローテ入りつかむ!広島中村祐太投手(21)がプロ初登板から3戦3勝を目指し、28日巨人戦に先発する。25日は大瀬良や岡田らとともにマツダスタジアムで汗を流した。怖いもの知らずの21歳は自身の連勝や野村離脱の重圧を感じさせず、先発ローテーションに食い込む「数少ないチャンス」を自覚。憧れの球場でもある東京ドーム初登板に挑む。

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 両親への手みやげをかばんにしまい、中村祐は上京した。マツダスタジアムでの調整では、笑顔が目立った。プロ初登板初先発から2戦2勝。初勝利球を紛失するも、18日DeNA戦で2勝目のウイニングボールをつかみ取った。地元での初登板が待つ東京で、両親に記念球を届ける。

 幼少期はヤクルトファンだったが、東京ドームには何度も観戦に訪れた。中学の江戸川中央シニア時代には同球場で練習経験もあり、シート打撃でマウンドにも上がった。だが、28日に対戦するのは球界の盟主・巨人。当時憧れた高橋は監督になり、アーチに酔いしれた阿部は警戒すべき相手となった。「変な感じはある。(阿部は)すごいホームランバッターというイメージ。映像を見て、だいぶイメージはできてきた」。表情を引き締めつつ「(高橋監督を)生で見るのが楽しみ」と21歳の笑顔ものぞかせた。

 怖いもの知らずで2戦2勝。すでに球団では前人未到の領域だが、ここで途切れさせるつもりはない。「どんな試合でもチームに勝ちを付けるために頑張っている。(先発の)仕事はできているとは思わない。次は先に点を与えないように。野手に助けてもらうだけじゃなく、自分の投球をしっかりして、勝ちたい」。自分の力で3つ目の勝利球を取りに行く。

 プロ3度目の先発は、同学年の田口と投げ合う可能性がある。今季が1軍初昇格の中村祐と違い、田口は2年目から1軍を経験している。「同級生には負けたくない気持ちが強い。いつかは投げ合いたいと思っていた」。待望の初対戦を、中村祐は心待ちにする。

 野村の離脱で、広島先発陣は開幕ローテから3人が戦列を離れる事態となった。だが、中村祐にとってはチャンスだ。「数少ないチャンスだと思うので、しっかり投げるのが今できる精いっぱいのこと。与えられたポジションでしっかり仕事ができれば」。首位浮上へ、チームの希望の星を目指す。【前原淳】