大リーグ風というか、大味というか。そんな試合かもしれない。高橋遥人が抑え、森下翔太、佐藤輝明の主軸が本塁打を放つ。チームを代表するタレントが活躍しての快勝だ。特に最少1点リードの8回、佐藤が放った2発目の3ランは大きかった。その裏、高橋が2点目を失っただけに勝負を分けた本塁打と言える。

「こんな試合多いね。勝った気がしない、負けた気がしないような…」。そう言ったのはテレビ大阪で解説していた前監督・岡田彰布(オーナー付顧問)だ。その裏にはそういった意味もあるのか。

もちろん「それが悪いのか?」と言われれば、そんなことはない。スター選手が活躍し、勝つ試合は、ファンに取ればシンプルにうれしいだろう。そこはハッキリ言っておきたい。

それでもなんだかモヤモヤするのは8回、森下の右翼守備があったからだ。この回先頭の代打・辻本倫太郎の右飛をグラブに当てながら落とした。ギリギリのプレーで、その後、フェンスに背中から当たり“エアポケット状態”になったのか、ファウルと思ったのか、一瞬、転がる球を追わなかった。

阪神ベンチはリクエストしたものの結果はフェアで三塁打に。その直後だ。代打・石伊雄太の当たりは深い右飛。これをキャッチした森下は、本塁は間に合わないと判断し、内野へ軽く返球しただけだった。

どうかなと思ったのはここだ。辻本の打球は最初から全力でプレーできていれば二塁止まりだったかもしれない。それが三塁打になった。ミスと言えばミス。その直後、自分のところにフライが飛んできたのだ。

ここは「よし! 見とけよ!」とばかり、間に合うどうこうではなく、本塁へ例えばノーバンで送球し、強肩を見せて鬱憤(うっぷん)を晴らすのがプロではないのか、と感じる。

過去に取材した選手から言えばイチローなら間違いなくそうしたと思う。“手抜き”どうこうの話ではない。そんな思い切ったプレーがプロの非凡さの見せどころではないか。打撃でも守備でもファンはそういうプロの姿を見たいのだ。

「明日は挑戦的に。明日が1つの挑戦になりますね」。今朝丸裕喜が投げる15日の試合について、そう話した指揮官・藤川球児である。その言葉には森下を含めてチーム全体へ、いま一度、「挑戦」という意識付けをしたかったのかもしれない。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

中日対阪神 8回裏中日無死、右翼手森下翔太は代打辻本倫太郎の打球を落球する(撮影・上山淳一)
中日対阪神 8回裏中日無死、右翼手森下翔太は代打辻本倫太郎の打球を落球する(撮影・上山淳一)