阪神の新外国人エリック・キャンベル内野手(30)が、チームに渦巻く不安を一掃する豪快弾を放った。死球負傷の鳥谷に代わる三塁先発に意気込んだ。初回に2点を先制してなお2死一塁の場面。大竹寛の外角スライダーを強振するとライナーでバックスクリーン真下へ。28打席目で待望の来日初アーチが飛び出し、リードを4点に広げた。

 「センターへの本塁打は(米国でも)なかなか打てなかった。これだけ長く時間がかかると思わなかった」。大リーグのメッツで通算7本塁打とスラッガーではないが、チームの窮地で最高の結果だ。試合前は手負いの鳥谷も練習。その光景を見て「今日も同じ形で球場に来て同じようなことを続けられるのは素晴らしい」と感じ入った。

 「7センチの勇気」がもたらした快音だ。5月上旬から5打席連続三振…。ベンチを温め、2週間以上、安打も出ない。変化球を多用する日本野球に苦心し、決断を下す。打席で構えるスタンスを7センチほど狭くしたのだ。「年間通してアジャストしないといけない。リラックスできるのが一番の理由さ」。足幅は広く、ノーステップ気味に打つのが特徴だった。この日は違う。左足を小さく上げて踏み込み、客席に運んだ。生き残るために変化を恐れない。

 3回は初球の外角速球をとらえ、右中間を破る適時二塁打。「前の打席でスライダーを打った。今度は速い球に振り負けないことを意識した」と読み勝ちも光る。2日のヤクルト戦以来、18戦ぶりのスタメンで、来日最多の3打点。金本監督も「層が厚くなったと思う」と言う。「毎日、先発で出る気持ちで球場に来ている」と助っ人。「代役」と呼ばせたくない意地が見えた。