西武糸川亮太投手(27)が投げた瞬間、味方ベンチではいくつもの「あっ」という声が出たという。
2点差に迫られ、なおも2死満塁の7回。初球、古賀悠斗捕手(26)の要求は、日本ハムの主砲レイエスのひざ元。ボール球でもOK。それがど真ん中へ。「投げて『やられた』と思いました」と振り返る。
打球は浮かなかったが、レイエスが三塁へ放ったゴロの初速は、時速164キロ。前日に失策をした山村崇嘉内野手(23)が押さえ、三塁を踏むか迷いつつ、一塁への遠投を選択。何とかアウトにすると、西武側には多くの笑顔と「あぶねー」があふれた。ベンチへ戻ると鳥越ヘッドコーチに「度胸あるな、お前」といじられたという。
開幕1軍入りも、前日まで登板5試合で被本塁打3本。「フライボール比って数値が去年からあれで。とにかく打球を上げさせないように、ってやってるんですけど…」。前日はそのシンカーで完璧な空振り三振を奪ったが、まだまだ安定感は途上。少しずつ経験を重ねている。
ただ最後は大差で勝ったものの、糸川の1球がなければ逆に敗れていた可能性もある。結果だけならMVP級の仕事。過去2年間は0勝0敗0ホールド0セーブだったが、これで2日連続ホールド。「そういう場面で今年、投げられてるってことだと思うので。どんどん積み重ねていけるように」と充実の表情だ。
糸川の後ろでは甲斐野央投手(29)が「篠原の話も聞いてもらおうか、絶望のフルベース」と7回無死満塁を作った篠原響投手(19)とともに、糸川の話に耳を傾ける。対して神妙な篠原は「後継者、後継者」とポツリ。甲斐野も2日前、3連続四球での無死満塁をやらかした。3人とも紙一重。それこそリリーフの重圧。身にしみているからこそ、勝った時は皆がうれしい。【金子真仁】



