ついに姿を現した! 広島安部友裕内野手(27)が規定打席に到達。この日2安打で打率を3割5分1厘とし、いきなり首位打者に躍り出た。「覇気」が口癖のコイの熱男。11日にリーグを代表して参加した球宴会見で緒方孝市監督(48)も「売り出し中の安部」と全国のファンに宣伝した推しメンだ。チームは首位阪神にゲーム差なしまで肉薄した。安部の持ちネタ「覇気」で一気に追い抜く。

 安部が右手をベンチに突き上げた。規定打席到達直前の6回の第3打席。1点リードの無死二、三塁で、巨人マイコラスのカーブにバットを合わせた。「もう来るかなと。センターにしっかり返せた」。中前2点適時打で巨人を突き放す。そして規定打席に乗った4打席目は、左腕戸根から死球。プロ10年目で初めて打撃成績の一番上に、自分の名前を載せてみせた。

 「うれしくないわけはない。とにかくチームの勝利に貢献出来てよかった。好調というのはない。つなぐ気持ちと、覇気だけです」

 進化の秘訣(ひけつ)はボールの内側を打つ打撃練習だ。ボールを引きつけ、強く左方向に打つ意識を持つ。昨秋のキャンプでは早出練習より早い「スーパー早出」で振り込んだ。口癖は、15年に東出コーチに「覇気がないぞ」とハッパを掛けられて始まった「覇気」。言霊に導かれるように安打を重ね、打率は3割5分1厘。ついに日の当たる場所に躍り出た。

 兄の影響で小2から始めた野球は「最初は嫌で仕方なかった」。本当はサッカーが好きで、母に「野球に行きたくない」と泣きつき、困らせたこともあった。「特別上手でもなかった。でも続けることが大事ですね。本当によかった」と言うように、当時から継続する才能があった。