最強の右中間コンビが、阪神の首位陥落危機を救った。3回だ。不振にあえぐ糸井に笑顔が戻った。クラインの内角スライダーを振り抜くと、打球は右翼席に着弾。思わずガッツポーズを繰り出した。「浜風にちょっと戻されたので、ビクビクしながら走っていた。ああいう1本を打つために、毎日練習しているんやなと思います」。10試合ぶりの先制6号3ラン。超人が苦悩から解き放たれた。

 糸井は周囲のサポートに深く感謝する。金本監督は気分転換に1番起用を打診し、3戦連続で務めた。この日の試合前練習。ティー打撃に取り組む糸井に、うなずきながら、熱視線を送る男がいた。福留だ。打ち終わると、打撃のアドバイスを送った。糸井は真剣な表情で聞き、自らのスイングをチェックした。「いろんなアドバイスをもらって、ありがたい。僕がしっかりしていれば、こんなことにはならなかった。迷惑をかけた分、取り返す気持ちで毎日、やっていく」。7戦連続ノーヒットと連動するように、チームは失速。その責任を感じていた。

 同じ3回、福留も続いた。左翼ポール直撃の6号2ラン。「あそこは(打球が)伸びてくれるところ。もしや、と思ったが、切れずによく届いてくれた」。4番がホームランを打てば、今季は6戦全勝。不敗神話を継続した。

 3・4月に続き、5月の月間勝ち越しも決まった。金本監督は言った。「週単位でいくと、明日勝つと3勝3敗になるので、何とかタイに持ち込みたい」。糸井、福留初のアベック弾は再浮上を期待させる。猛虎が首位をキープした。