道産子右腕が、地元北海道で鮮やかに復活だ。昨年7月にヤクルトからトレード移籍した日本ハム杉浦稔大投手(26)が、移籍後初先発で初勝利。元モーニング娘。でテレビ東京アナウンサーだった妻あさ美さん(31)ら家族が見守る中、5回無安打無失点と圧倒的な投球を披露した。「初勝利と同じくらい重みのあるボールになりました」。679日ぶりにつかんだ通算7個目のウイニングボールを、大切そうに握りしめた。

 許した走者は、5回、死球による1人だけ。日本人離れした長い腕をムチのようにしならせて、力でソフトバンク打線をねじ伏せた。72球のうち、実に51球が直球。序盤は自己最速タイの150キロを連発し、本拠地ファンを魅了した。

 13年ドラフト1位でヤクルトに入団したが、故障に泣かされた。日本ハムに移籍後も右肩痛を発症。「肩と肘の故障が続くのは、腕を振ることに頼った投げ方をしているからではないのか」。自身を見つめなおし、フォーム改造と下半身強化に踏みきった。「真っすぐはレベルアップしている感覚がある」。武器だった直球に、磨きがかかった。

 昨年の元日にあさ美さんと結婚し、秋には第1子も誕生。お風呂上がりの子どもの体を拭いたり、抱っこをしたり、5人姉弟の長男として育ったから子育てには慣れている。「結婚してからも、子どもが生まれてからも、ずっとリハビリを支えてくれて感謝しています」と、愛妻へ恩返しの1勝となった。

 次回は8月1日、実家のある帯広で開催されるロッテ戦での先発が濃厚だ。「再スタート。新しい自分、また一からという気持ちで頑張りたい」。新天地で踏み出した1歩目は、自信にあふれていた。【中島宙恵】