不動の守護神に返り咲く。楽天松井裕樹投手(23)が22日、仙台市内の球団事務所で2度目の契約更改交渉を行い、3000万円ダウンの1億1000万円プラス出来高払いでサイン。平石監督から「来季もリリーフで力を貸してほしい」と電話があったことを明かし、抑え1本で勝負する覚悟を示した。チームは全選手の契約更改が終了。西武からFA加入した浅村の補償も金銭のみとなることが決まり、来季陣容が固まった。

5年目で初のダウン更改にも、松井はスッキリした表情だった。数日前、平石監督から起用法を伝える電話に「頑張ります。よろしくお願いします」と即答。ポジションが定まったことで、前回詰められなかった出来高の詳細を球団とすり合わせることもできたという。「リリーフ1本でやっていくつもりで心も決まった。そういった(先発への)思いは、今はもう全くない」と歯切れよく言った。

開幕戦の9回に追いつかれて始まった「本当に苦しいシーズン」。守護神の座をハーマンに譲り、2軍落ちも味わった。史上最年少での100セーブ達成も9月までずれ込み、抑え転向から3年連続でクリアしてきた30セーブに届かなかった。終盤には4年ぶりの先発マウンドも経験。「今まで、右打者の内角に曲がり球を使っていなくて。先発になって、速い変化球を右打者の膝元へ入れていくところだったりを練習できた。来季、短いイニングで、さらに効果を発揮できるのかな」と収穫もあった。

交渉の席では「もう1回(抑えを)取りにいきます」と伝えた。13日に女優石橋杏奈(26)との結婚を発表。仕事を続ける石橋とは開幕をメドに仙台での生活をスタートさせる予定だという。「昨日は2人でしゃぶしゃぶの鍋をしました」と幸せそうに笑った後で表情を引き締める。「今年は打たれる姿ばかり。勝利の瞬間、マウンドに立っている姿を見てほしい」。チームのため、愛する伴侶のため、9回のマウンドは譲らない。【亀山泰宏】(金額は推定)