<オープン戦:ソフトバンク2-5西武>◇5日◇福岡ヤフードーム

 ようやくT砲が火を噴いた。ソフトバンク多村仁外野手(30)が今オープン戦初となるソロ本塁打を放った。3番中堅で先発した西武戦の初回2死。新外国人キニーの内角直球を左翼席へ運んだ。王監督がこの日、多村、松中、松田の「TMM」による開幕クリーンアップを明言。すでに1発をマークしている2人に続いた多村は敗戦の中でマルチ安打を放った。自打球を当てながら振り逃げで一塁に生きるなど気力も充実。今季こそ「3番」を指定席にする。

 両腕をたたんだ多村がコマのように回転した。カウント2―1。内角への138キロ直球を一気に左翼席へ運んだ。メジャーでシーズン2ケタ勝利の経歴もある初対決のキニーから1号ソロ。8戦目の3月6日に飛び出た昨季より1日、1試合早くアーチを描いた。

 多村

 結果を求める時期ではないけど、1本目というのはホッとします。内容としてもきれいな回転で打てたし、理想的だった。自分の打ち方ができた。

 安堵(あんど)の気持ちは素直に「ホッ」という言葉に表れた。4日楽天戦で2度目の猛打賞をマークと復調気配だった。すでに4番松中、5番松田は本塁打が出て、残すは多村のみだった。「クリーンアップは3人の調子が上がらないと」。そろい踏みを期待していた王監督にも応えた。

 4回も内角高め直球を同様に左前へ転がした。昨秋からバットの重量を20グラム増やし、横浜時代の930グラムに戻した。体の回転でヘッドを利かせた打法で、オープン戦の折り返し地点で5打席連続安打。王監督も「だんだんいい形になってきた」と目を細めた。4回無死一、二塁。松中の一ゴロで多村は併殺つぶしの走塁もみせた。昨季は左足肉離れを何度も患い、満足に走れなかったが、移籍2年目はオープン戦から走塁への高い意識を持ち続ける。

 今季も福岡市内で単身生活を続行。ただ新たに栄養士とホテルシェフの「ダブルス」から食生活のサポートを受ける。無農薬野菜をふんだんに使った料理が多く、24時間態勢で多村の胃袋に対応。「試合後、遅くなってもすぐに食事を出してもらえるので、かなりいい」。ナイター試合後、疲れた体で外食に出かける煩わしさが減った。より試合に集中する環境を整えた。

 昨年は4月4日でついえた全試合フル出場が目標だ。6回の第3打席で自打球を右足甲に当てたが、痛みに耐え振り逃げで一塁まで疾走。直前に4点を奪われたチームを奮い立たせた。途中交代となったが「問題ありません。明日(6日)も出ます」。王監督も「大事を取っただけ。そんなヤワじゃないよ」と語気を強めた。

 試合前に王監督が「残り10試合だから本番態勢で行こう。気持ちを前面に出して」とゲキを飛ばしていたが、チームは散発6安打と打線がつながらず、逆転負け。試合後は、野手陣を集めて約30分のロングミーティングを開き「投手陣がどこのチームも良くなっている。打者がそれを何とかするという気持ちでやろう」と真剣モードを示唆した。その中でこの日の2安打で7試合20打数8安打、打率4割。1発も放った2年目の多村が輝いていた。【押谷謙爾】ソフトバンク多村今年の格闘アラカルト

 ◆自主トレ

 1月6日、母校の横浜高で自主トレを開始。今季の目標に「144試合フル出場」「打率3割」「30本塁打」「100打点」を掲げ、マリナーズ城島の自主トレにも参加した。

 ◆キャンプ

 右肩の違和感でB組スタート。打撃フォームの改造に着手する。2月12日にA組(1軍)に完全合流。シート打撃では2安打した。16日紅白戦でチーム1号となる2ランを含む4打数4安打3打点の大暴れした。17日、腰の違和感を訴え、別メニュー調整となったが、19日には紅白戦に復帰した。

 ◆オープン戦

 福岡市内の病院で右目のものもらいの治療を受け、運動中止を命じられたため、2月27日ロッテ戦(福岡ヤフードーム)を欠場したが、翌28日ロッテ戦には3番中堅でスタメン復帰。3月4日の楽天戦では2度目の猛打賞をマークしていた。