広島の大学・社会人ドラフト1巡目、篠田純平投手(22=日大)が2軍で先発として再スタートを切る。14日の紅白戦登板後、ブラウン監督から2軍調整を命じられた。大幅な出遅れから巻き返し、中継ぎとしてまずまずの結果を残してきたが惜しくも力およばず。ただ首脳陣はローテーション投手のスペアとして高い期待を寄せている。篠田の新たな戦いが始まった。

 拍子抜けするほど、さっぱりとしたラストだった。紅白戦で5回の1イニングを投げ終え、ベンチに戻ってきた篠田にブラウン監督が声をかけた。「明日から2軍に行ってくれ」。ただ、篠田の顔にも指揮官の顔にも悲壮感はなかった。あくまで「発展的」な2軍行き。今度は先発として再スタートを切ることになった。

 篠田「明日からファームです。そんなにショックは受けていません。やることは分かっていますから。先発でも中継ぎでも対応できるようにやっていきたい。最終的には(1軍で)投げられれば、どちらでもいいです。いつでも呼ばれていいようにしておきます」。

 気持ちはすぐに切り替えた。ただ、そこはやはり即戦力の期待を受けた左腕。大目標の開幕1軍が大きく遠のいた現実に、悔しさも感じた。「しようがないですね…」。明るい男がぽつりとこぼした。

 ブラウン監督は篠田に「いい状態になっている。悪いから落とすわけじゃない。このまま続けて、長いイニングを投げられるように調整してきてほしい。特に(対)左打者を意識して投げるように。必ずまた呼ぶから」と伝えた。小林投手コーチは報道陣に「下で先発した方がチームのためになるので、早い段階で決断した」と説明した。

 左の中継ぎは広池、佐竹とも好調をキープ。首脳陣は篠田を中継ぎ要員として1軍に置くより、先発の「スペア」として調整させる方がチームにとって有効と判断したようだ。先発調整していれば先発・中継ぎ両面で出動可能になる。

 同じ左腕の青木高は不安定な投球を続け、先発ローテーション入りが不確かな状況。実績のある高橋、長谷川にも「合格印」が出ていない。篠田が早い時期に先発調整を始めた理由は明らか。1軍での起用法はそのときの1軍投手陣の状況によるが、篠田にはこれからも熱い視線が向けられることは間違いない。

 これでこの日から2軍に合流した松山竜平外野手(22=九州国際大)とキャンプ中に2軍落ちした小窪哲也内野手(22=青学大)を含め、即戦力ルーキー3人が全員1軍を離れた。激しくなった競争の中で、これまでいた選手たちが意地を見せた格好でもある。

 篠田は落ち込むことなく、上を向いて1軍を離れた。初の2軍生活で自分を磨き上げることが、若き左腕のため、そしてチームのためになる。【柏原誠】