「平成12年12月11日」。あれから7年。夢を追い続けた男の思いは、プロ初先発初完封勝利という最高の形となって実を結んだ。

 「鉄腕」と称されるソフトバンク大場だが、過去に1度だけ、体にメスを入れた苦い経験がある。00年(平12)秋。大場は中2の体育の授業中にハードル種目で転倒。右ひざ半月板損傷という大けがを負った。考え悩んだ末「プロ野球選手を目指すため」と決意し、完全に治すために手術に踏み切った。それが12月11日だった。「それまではただ漠然とした夢だったけど、初めて本気でプロ野球の選手になろうと思った日。プロに入って、一人前の選手になってやるぞと」。人生の〝進路〟を決断した日を忘れないようにと、グラブには「12・12・11」の日付を刺しゅうした。

 高校、大学時代はその思いを刻んだグラブで登板。地道に努力を重ね、ホークス入りした。プロ入り後は寮で就寝する時に一番目に入る場所に飾っていた思い出の品を、この日ベンチまで持参。苦楽をともにした〝戦友〟とともに、プロ初勝利を手繰り寄せた。【ソフトバンク担当・石田泰隆】