<巨人3-4中日>◇1日◇東京ドーム

 エース上原浩治投手(32)でも、巨人が負けた。1日、本拠地東京ドームでの開幕戦となった中日戦。3-3の同点で迎えた9回、中村紀に勝ち越しソロを浴び、力尽きた。06年10月5日、横浜戦(東京ドーム)以来となる先発で、121球の完投も報われなかった。ヤクルトとの開幕戦ではなく最大のライバルにぶつけるローテーションを組んだが、実らなかった。05年以来の開幕4連敗はワーストタイで、トンネルを抜け出せない。

 快音と同時に、上原は左翼スタンドを振り返った。同点で迎えた9回表、先頭打者中村紀に投じた初球の直球は、高めに浮いた。ホームランボール。失投だった。自ら志願して登板したマウンドで、出はなをくじかれた。開幕4連敗が決まる痛恨弾だった。

 スタミナは限界だった。昨年はストッパーを任され、最長イニングは2回。先発復帰した今季は、キャンプからスタミナ強化に取り組んでいた。しかし、チーム事情からオープン戦の最長イニングは7回で、最高の球数は84球。最終登板となった3月22日のアスレチック戦では、わずか2イニングで降板していた。試合後はブルペンで投げ込みを行ったが、実戦でのスタミナ消耗度は、比べるまでもない。原監督は「120球近くになった。100球というつもりだったが『どうだ?』と聞いたところ、本人がいくと言った。こういうチーム状況だし、責任感の強い男だからね」と絶対的なエースにすべてを託したが、唯一の不安点が的中してしまった。

 投球そのものは、完ぺきだった。悔やまれるのは、6回1死一塁から李に打たれた同点2ラン。カウント0-1から3球直球を続けて、打たれた。前の打席では1-0から内角の直球を2球続けて空振り三振に打ち取っている。李は打ち取られた球や、空振りした球を狙ってくる傾向が強い。一発だけは打たれてはいけない場面で、最も危険性の高い内角の直球を投げ、狙われてしまった。「前の打席で内にきていたから。狙っていたボールがきたから打った」としてやったりの表情で話す李のコメントに敗因が詰まっていた。

 優勝争いの最大のライバル中日戦を重視し、エースは開幕戦でなく、この日の先発となった。屋外の神宮球場で行われる寒いナイターより、体調を考慮した原監督の計らいもあったが、手痛い黒星になった事実は変わりない。上原は「結果がすべて。コントロールミスがホームランになった。反省すべきところは反省し、次につなげないと」と544日ぶりの先発を振り返った。エースの力をもってしても、巨人の暗い夜は明けなかった。【小島信行】