レアル・ソシエダードの今季もあと3試合で全日程が終了するが「欧州リーグ出場」という目標を達成するために、最後の力を振り絞らなければならない状況に追い込まれている。

Rソシエダードの今季を振り返ってみると、昨季同様、後半戦に入ってからの失速が顕著となっている。

チームはシーズン開幕から3試合連続で引き分け、幸先の良いスタートは切れなかったものの、最初から爆発力を発揮した久保に率いられ、9月に入り本来の強さを見せ始めた。今季最多の公式戦4連勝を達成すると、その後もテンポ良く勝ち星を増やしていった。

そんな中、特に際立ったのは10季ぶりの挑戦となった欧州チャンピオンズリーグ(CL)での戦いぶりだ。1次リーグで昨季のファイナリストであるインテル・ミラノを抑え、D組を無敗で首位通過するという偉業をやってのけた。思えばこの時期が、Rソシエダードのピークだったのかもしれない。

チームはこの日を境に、緩やかに調子を落としていくことになる。そして新年を迎え、久保とトラオレが代表戦で1カ月ほど離脱。主力2人を欠いたチームは試行錯誤しながら、毎週ミッドウイークには国王杯を戦う過密日程に突入したことで、次から次へとけが人が増加していった。

1月13日のビルバオ戦では、けが人が今季唯一の0人になったのに対し、その後わずか6試合、ほんの3週間で今季最多の7人にまで達してしまった。この影響は想像以上に大きく、チームは1月下旬からの約40日間、最悪の時期を過ごすことになった。

この間、公式戦10試合でわずか1勝しか挙げられず、準決勝まで進んだ国王杯はPK戦の末に敗退。さらに、公式戦5試合連続無得点という、72-73年シーズンのクラブ史上のワースト記録に並んでしまったのだ。

当然、クラブの地元メディアはその原因を追究した。今冬の移籍市場で加入したハビ・ガランとベッカーの評価は上々だったものの、センターフォワードがまともに機能していないことが影響しての得点力不足、連戦による疲労とけが人続出、選手層の薄さといった問題が指摘された。

チームがこの負のスパイラルから抜け出すきっかけとなったのは、皮肉にも目指すべき目標のひとつであった欧州CL敗退後だった。決勝トーナメント1回戦でパリ・サンジェルマンに敗れたことで過密日程から解放された。唯一残された大会となったスペインリーグですぐさま3連勝を達成し、現在に至るまでの8試合の成績は4勝2分け2敗。ここ5試合はわずか1勝しかできていないが、最悪の状況を脱したと言っていいだろう。

久保に目を向けると、今季ここまでの公式戦成績は、39試合(先発31試合)、15勝15分9敗、7得点3アシスト。特に前半戦の活躍は素晴らしく、ラ・リーガのマッチMVPを8回、月間MVPを1回、さらに欧州CLでもマッチMVPを1回受賞している。

しかし後半戦に入ると急ブレーキ。アジアカップ参加や3大会を戦う過密日程による疲労、その影響による度重なるけがやフィジカル面の問題、さらに相手の警戒レベルが大幅に上がったことで、パフォーマンスが低下していった。

特にアジアカップからの復帰後、チームがけが人を多数抱えてボロボロの状態だったため、久保は酷使され続けた。当時、替えの利かない存在だったため、休む暇など与えられず、いきなりミッドウイーク開催を含む公式戦5試合にフル出場。こんな使われ方をすれば、フィジカル面に支障をきたすのは無理もない。とはいえチームのことを考えて、久保は必死に自分を鼓舞し、戦い続けたのだと思う。

そんな中、3月31日のアラベス戦でアクシデントが発生する。ハムストリングを負傷し、前半終了間際に交代を余儀なくされた。それ以降、代役を務めているベッカーが目に見える結果を出していること、そして最近新たに大腿(だいたい)四頭筋に問題を抱えていたことで、直近5試合のうち先発出場は1回しかない。最後のゴールは2月18日のマジョルカ戦で、ここ10試合は無得点だ。

それでも久保はRソシエダードから唯一、今季のスペインリーグの年間最優秀選手賞およびU-23年間最優秀選手賞(各10人)にノミネートされた選手となっている。このことは久保のこれまでの功績が損なわれていない証しと言えるだろうし、ベリンガムやビニシウス、レバンドフスキなどと共に名前が挙がっていることは称賛に値する。受賞者は今季終了後の5月28日に発表される予定だ。

Rソシエダードの来季の命運はあと3試合で決定する。「欧州リーグ出場」という目標を達成できるかどうかは、バレンシア、ベティス、アトレチコ・マドリードとの戦いで、どれだけのパフォーマンスを発揮できるかにかかっている。また、久保がこのシーズンの終わりにどのような役割を果たすのか、大きな期待を寄せずにはいられない。

【高橋智行】(ニッカンスポーツコム/サッカーコラム「スペイン発サッカー紀行」)