<西武3-3日本ハム>◇15日日◇西武ドーム

 3戦連続のサヨナラ負けを免れて、気が抜けたのか。日本ハムに、最後の土壇場で痛恨の「サヨナラ劇」のオチがついた。立川市内への宿舎へと移動するバスが球場を出発直後、「マジかよ~」と、落胆の声が響いた。最終12回を締め、引き分けに持ち込んだ武田久が、置いてけぼりにされたのだ。チームスタッフの確認ミスだった。そこへ4連勝を逃した先発の武田勝が登場。幸い自家用車だったため、ホテルへ送り届けてもらった。番外編の「絶妙リレー」でことなきを得たが、試合以外でもミスが後味を悪くした。

 不快指数が残った。2点を先行したが、陽の失策を引き金に5回に振り出しに戻された。直後の6回に高橋のソロで勝ち越し、完全に逃げ切る勝ちパターンへと持ち込んだ。だが8回、拙攻でまた逆戻りした。無死満塁からスレッジの一-捕-一の併殺、ジョーンズの中飛で無得点。梨田監督は「あそこで1点、入っておけばな」とため息だ。大きなポイントで急停止し、ズルズルと今季初の引き分けになった。

 この日、サヨナラ負けなら球団史上、34年ぶり3度目の3戦連続の劇的黒星だった。「指導者が悪いんかな」。梨田監督が皮肉交じりに猛省するほど、ほかにバントミスなどで自滅した形になった。8回、自責点1の武田勝が「しょうがない。いつも守ってきてくれたから。チームワークですから」と、かばうほど攻守に内容は悪かった。星野の好投、尾崎のプロ初安打と明るい材料はあったが、光は見えない。首位奪取に失敗。現状を支える小さな鉄腕を置き去りにしたバスのヘッドライトだけは、暗い夜道をこうこうと照らしていた。【高山通史】