<ヤクルト1-2広島>◇11日◇神宮

 広島の大学・社会人1巡目ルーキー篠田純平投手(23=日大)がヤクルト相手にプロ初先発初勝利を飾り、4連敗中のチームを救った。

 1回から飛ばした。最速143キロの直球とスライダー、チェンジアップ、フォーク。186センチの長身から思い切り腕を振り下ろす。5回2/3を5安打1失点。最大のピンチは5回無死一、三塁。「ピンチだったけど、冷静に投げられた」。福川を空振り三振。代打リグスを遊ゴロ、川島慶を三ゴロで最少の1失点で切り抜けた。「篠田は非常にいい投球をした。積極的にストライクを投げ、逃げる投球をしなかった」とブラウン監督は絶賛した。

 神宮のマウンドでは絶望も歓喜も味わった。東都1部の日大3年時、専大との入れ替え戦に2試合とも先発し計9回1/3を投げ4失点し、2部に降格。「自分が落とした」という思いから目の色を変えて練習し、1部復帰に導いた。

 それ以来の神宮のマウンド。「神宮は投げやすかった」。1月の沖縄キャンプ中にへんとう炎を患い入院するなど出遅れた。心配した両親は群馬の実家から宮崎・日南2次キャンプに訪れた。この日もスタンドに姿があった。「ウイニングボールは両親にあげたい」。母の日にでっかい親孝行をやり遂げた若き14番。“炎のストッパー”こと故津田恒美さんの背番号の重さは日々実感している。座右の銘は津田さんの「弱気は最大の敵」。背番号に恥じない活躍を、これからも続けていく。【網孝広】