<ヤクルト2-3日本ハム>◇29日◇神宮

 日本ハムの逆輸入ルーキー、多田野が、ヤクルト打線を7回3安打1失点に抑える好投をみせた。降板後に追い付かれ自身3勝目は逃したが、チームは9回に相手失策に乗じて決勝点を奪い連勝。多田野は防御率1・23と、規定投球回に未到達ながら、パ・リーグ1位のダルビッシュ(1・69)を上回る。登板した4試合はいずれもチームは勝っており、「必勝神話」ができあがっている。

 観衆から声がかかった。「ナイスピッチング!」。応えるように、多田野は何度も観客席に手を振った。好投で試合をつくった。登板全4試合でチームは勝利し「それは大きい。続けて行きたいですね」。家族も招待した6年ぶりの神宮球場で笑みが絶えなかった。

 5回に2安打を浴び1失点したが、得点圏に走者を許したのはこの回だけ。4回、初登板から通算65人目の打者青木に初の四球を与えたが、前回の危険球退場の影響を感じさせず、7回3安打1失点。勝ちに等しい内容だった。「初めての屋外で不安もあったけどだんだん慣れた」と話した。梨田監督は「この間の危険球を挽回(ばんかい)した。向こう(米国)に行って苦労したのがよく分かる」と感心した。

 立大時代は神宮で通算20勝をマーク。4年時の02年以来の登板に「昨夜はなかなか眠れなかった。いろんなことを思い出した」と興奮は隠せなかった。ヤクルト青木(早大出)らと久々の対戦に「3人いたけどすごく成長しているなと思った」。自主トレ先の1つで、ドラフト指名当日に会見した縁のある球場で、自らも成長した姿を見せた。