現在6月末日までと定められているトレード期限を今年から1カ月延長する方針が2日、明らかになった。NPB(日本プロ野球組織)の実行委員会が都内ホテルで開かれ、正式議題として挙げられた。フリーエージェント(FA)短縮などに関する交渉の中で、労組日本プロ野球選手会(宮本慎也会長=ヤクルト)が妥協する姿勢を見せた。新外国人選手の獲得も可能になるため、各球団とも補強の方法が大きく変わる。今月下旬に予定されている選手会との会議で正式決定すれば、今年からの実施となり、数年来の懸念事項とされてきたFA短縮問題も解決に向かう。

 トレード期限と、新外国人選手の獲得など新規契約は、野球協約で6月末までと定められている。だが、かねてNPB側は期限の1カ月延長を求めていた。球団とすれば優勝争いやクライマックス・シリーズ進出へ向け、戦力補強の選択肢が広がるからだ。一方の選手会は「急場しのぎの補強は、選手の使い捨てにつながる」などの理由で拒否してきた。だが、今回は応じる方向に転じてきた。この日の実行委員会で選手会の姿勢が紹介され、各球団からは歓迎の声が上がった。正式には、月末に開催されるNPBと選手会の話し合いで議論される。決定となれば今年から実施される見込みだ。

 これにより、数年来の懸念事項だった労使交渉が一気に解決に向かう。FA取得期間の短縮を希望してきた選手会に対し、NPBは現行9年から国内移籍に限り8年への短縮を了承した。さらにドラフトで希望入団枠が廃止された今季の新人選手から、大学、社会人出身者は7年という譲歩も見せた。2年後に再度話し合うという条件も付いており、10年オフには全選手が7年まで短縮されることが確実視されている。

 これに対し、選手会も譲歩してきた。当初はFA短縮に伴うNPB側からの要望を、ほぼ却下。前回5月12日の実行委員会では、交渉決裂の様相も呈していた。だが、その後もNPBと選手会は水面下で話し合いを続け、妥協点を見いだしてきた。選手関係委員の副委員長を務める広島鈴木球団本部長は「相手のある交渉だから内容は言えません」と前置きしつつも「次(の会議)で大体決まるのではないか」と、明るい見通しを口にした。互いが譲り合う形で決着すれば、球界にとって明るいニュースとなる。