中日のエース川上憲伸投手(33)が24日、チームに「置きみやげ」の勝利を誓った。25日阪神戦(甲子園)に先発が予想される川上はナゴヤドームで練習を行った。チームは現在阪神と12ゲーム差の3位と苦しい状況だが、北京五輪代表に選ばれた川上にとってチーム離脱前最後の登板だけに譲れない1戦となる。

 川上の言葉はエースの自覚にあふれていた。目前に迫った北京五輪開幕。自身は星野ジャパンの投手陣の中心選手として活躍が期待される立場だ。だが、早くも五輪モードに突入しようとする周囲の空気に厳しい表情で待ったをかけた。

 「オリンピック、オリンピックと言うけど、まだそれは考えていません。目の前の試合に集中したい」。

 北京へと旅立つ前にやることがある。チームは首位阪神と12ゲーム差の3位に甘んじている。きょう勝ったからといって阪神の優勝マジックが消えるわけでもない。ただ、阪神とは今季3勝10敗1分と大きく負け越している。川上の登板試合でも3試合で2敗1分。防御率は1・80だが、援護に恵まれず未勝利なのだ。

 前回登板の18日のゲームでも1点を先制した直後の7回に宿敵・金本に同点ソロを浴びて白星を逃した。ペナントレースにおいてネバーギブアップの姿勢を見せつける意味でも、殴られっぱなしで終わるわけにはいかない。

 この日のナゴヤドームでの練習では入念にランニング、キャッチボールを行った後、だれよりも早く球場を去った。「まあ、まだ投げるかどうかはわかりませんけどね」。オレ竜特有の先発隠しのために、にやりと笑って煙幕を張ったが、エースのプライドと、強い意気込みで打倒・阪神に臨む。【鈴木忠平】