<阪神5-4ヤクルト>◇11日◇甲子園
阪神が9回に2点差をひっくり返し、ヤクルト3連戦で3試合連続サヨナラ勝ちした。関本の右ひじ負傷で緊急昇格した今岡誠内野手(34)が、第1打席で3号同点2ランを放ち、9回は1死満塁でサヨナラの押し出し四球を選んだ。不振で5月25日に登録を抹消され2軍でもがき苦しんだ。この日が34歳の誕生日。お立ち台で「夢のようです」と話した。同一カードでの3試合連続サヨナラ勝ちはプロ野球史上3度目。阪神は優勝マジックを17とした。
漫画のヒーローを超越する強運ぶりだった。同点に追いついた直後の9回1死一、三塁。目の前で平野が敬遠される。それでも、今岡は冷静だった。ヤクルト守護神林の球を見極め、押し出し四球を選ぶ。思いを込めて両手を突き上げた。万歳。優勝を目指すナインに加わり、喜びを爆発させた。
今岡
さっきまで鳴尾浜(2軍)にいたので、夢を見ているみたいです。あわただしい1日だった。練習してたら「今から行け」ってね。おまけに誕生日でしょう…。ホンマにラッキーだった。
9月11日。34歳の誕生日を迎えた。早朝、兵庫県内の自宅を出たときには予想にないシナリオだった。2軍練習のため、鳴尾浜にいた今岡のもとに電話が入る。岡田監督だった。「1軍や。スタメンやからな」。午後6時から家族と開く予定だったバースデーパーティーもキャンセルした。
今岡
いい意味で裏切れたので、(家族も)気分をよくしてくれたと思う。帰ってゆっくり楽しみたいと思います。
2軍から復帰の第1打席。2点を追う1回1死一塁。石川にファウルで粘る。9球目のスライダーをジャストミートすると、ライナーで左中間スタンドに突き刺さった。3号2ランで、試合を振り出しに戻した。
今岡
チームがこういう状況だから「一打席必勝」でね。それだけだよ。打っても打たんでも、あとは何も考えていなかった。
5月25日に不調のため2軍に降格した。そこから快進撃を続けるナインとは別に泥にまみれ調整を続けた。
1軍昇格を知らされる前のこの日午前。鳴尾浜で汗をかく今岡は必死だった。フリー打撃を繰り返す。柵越えを何度も放ち、フルスイングの感覚をとぎすましていた。そして、約7時間後…。一瞬を大切に生きる姿勢が甲子園で実った。
岡田監督は「最初はホームランで最後(サヨナラ押し出し四球)やろ。今日は今岡で始まって今岡に終わると、そのとき(サヨナラの直前に)思ったよ」と話した。
質問攻めの中で今岡は笑った。「今日はこれくらいにしとくわ!
また機会があったら」。ヒーローは、力強い足取りでクラブハウスに消えた。【酒井俊作】



