ソフトバンクは8日、今季限りの辞任を表明していた王貞治監督(68)の後任として、秋山幸二チーフコーチ(46)が来季新監督に昇格することを正式発表した。秋山新監督は、現役時代を過ごした西武、ダイエーの黄金期を融合した「チャレンジ」野球で、12年ぶり最下位に沈んだチームの再建に臨む方針を打ち出した。契約期間は3年で、背番号は「81」に決定した。また、王監督の新役職も発表され、年内は取締役最高顧問を務め、来年1月1日付で取締役会長に就任する。
秋山新監督が「王イズム」を継承する。12年ぶりの最下位に終わった、その翌日の監督就任発表。記者会見で右隣にいる王監督を意識しながら、秋山新監督は明確に答えた。「王イズムはどういうことか、と考えたら勝つために何をするか。勝つことを大前提に、優勝を目標にする。その目標を達成できる、強いホークスをつくっていきたい」。就任1年目に掲げた目標は、最下位からの大逆襲となる「優勝」だった。
球団からは1日に内示を受け、本社の了承を得た3日に正式に就任要請を受けた。以後はチーム再建策を思案した。現役時代は西武で8度のリーグ制覇と6度の日本一、ダイエーでもリーグ優勝2回に日本一を1回、経験した。2球団での日本シリーズMVPは史上初。両チームで主軸として活躍し、その「黄金期」を担った。だからこそ、できる野球がある。西武野球とダイエー野球を融合させた野球が、秋山スタイルだ。
まずは今秋から、ダイエーの黄金期を築いた土台づくりに着手する。秋季練習、キャンプのテーマの1つに「選手の体力強化」と秋山新監督は掲げた。「今までは技術に目が行きがちだったけど、筋力アップの必要な時期の若い選手が今は多い。ホークスも城島、井口、小久保、松中たちが競って筋トレをやってた時期があった」。城島(現マリナーズ)が外国人選手を見習い、筋力トレに本格的に取り組んだのは、ダイエーが初優勝した99年だった。「1度、体をつくる時期が必要なんだよ。やらないと筋肉が覚えない」。ダイエー黄金期を支えた主力選手も通った「肉体改造」の道を、ソフトバンクの松田、中西ら若手選手に用意する意向だ。
采配には西武黄金期の野球を取り入れる。チームの理想像を「打つときは打つ、守るときは守る、豪快な野球もできる。臨機応変に、いろんな戦法で勝っていけるチームにしたい」と会見では語った。そのお手本は80年代後半から90年代前半の西武野球だった。「昔の強い西武は打つイメージが強いけど、強いから相手もエース級が来る。いつも打てないから、そのときはバント、エンドラン、盗塁と少ない点を取る野球ができた」と秋山新監督は当時を振り返る。体力強化と並行して、その小技を習得する反復練習を、キャンプでは取り入れるもようだ。
球団とも再建策について協議し、外国人補強では先発タイプの投手、長距離砲の獲得を要望した。「やるからにはね。優勝を目指さないと。プロに入ってからずっとチャレンジだったし、目標があるからチャレンジできる。そういう精神がないとね」。背番号「81」も「1番にはこだわりたいからね」と1軍首脳陣の80番台で、現役時代にも着けた「1」を希望した。18日から雁の巣球場(福岡市東区)で始まる秋季練習が、ソフトバンクの黄金期をつくる第1歩となる。【中村泰三】



