阪神がトレードでロッテ清水直行投手(33)の獲得を目指すことが2日、明らかになった。FA交渉した三浦の横浜残留で、先発補強が暗礁に乗り上げたかに見えたが、素早く戦略を修正。清水はFA宣言せずにチームに残留したが、阪神は数年来、その実力を高く評価し、水面下で調査を続けてきた経緯がある。実績のある右腕の獲得はV奪還に不可欠。交換、金銭どちらも選択肢に入れ、ロッテ側とトレード交渉を開始することになった。

 阪神が起死回生の「一手」を繰り出す方針を固めた。三浦の横浜残留により打撃を受けたが、すぐに善後策を協議。その結果、「ハマの番長」に劣らぬ実力派右腕の名前が急浮上した。ロッテでエースを務める清水の獲得を目指す方針を固めた。球団関係者は「2けた勝利を何度も挙げ、信頼感は十分。リーダーシップもあって、うちが必要としている要素を持っている。出血を覚悟しても取りたい存在だ」と話すなど、近日中にもロッテ側とトレード交渉を開始することになった。

 清水はFA補強の目玉の1人だった。今オフはエース級の先発投手の補充を優先課題に挙げ、検討を重ねてきた。過去に5年連続で2ケタ勝利を記録し、今季はチームトップタイの13勝。報徳学園出身ということもあり、数年来、水面下で調査を続けてきた経緯がある。結果的に清水はFA宣言せずに残留したが、仮に宣言していた場合は、阪神は三浦とのダブル交渉に動く方針を打ち出していた。資金も電鉄本社の了承を得て準備していたほどだ。

 三浦の獲得失敗で坂井信也オーナー(60)が再び大号令をかけ、トレードや新外国人獲得などで積極的に強化を図るように指示。ロッテのエース獲得という難問ではあるが、来季の契約交渉が難航している情報もキャッチし、トレードでの獲得を目指す方針を固めた。また順調なら来季中に海外FA権を取得し、メジャー志向も強いとされるが、それでも獲得するメリットが高いと判断している。

 阪神ではトレード成立のために、中堅クラスの選手の放出も辞さない構えだ。清水は年俸1億6000万円(推定)と高額選手だが、三浦資金が浮いたこともあり、条件面では問題ない。ロッテが希望すれば、金銭トレードにも応じる考えもある。くしくも、清水の背番号「18」は空き番号になったばかり。この日、坂井オーナーは「10勝できる投手は何人いてもいい」と実力派の加入を熱望した。交換要員などクリアすべき課題は多いが、交渉成立に全力を尽くす。