日本ハム多田野数人投手(28)が7日、超遅球を限定解除する構想を明かした。この日、母校・八千代松陰で自主トレを公開した。今季は超遅球をバージョンアップし、外国人選手限定という制限を解く考えだ。それを効果的に使用するため、直球の球速アップも今春のテーマに掲げた。

 世間をあっと言わせた「タダノボール」は、2年目の進化を見せる。母校で約40球の“初投げ”を行った多田野は、推定48キロと言われる衝撃の超遅球について「チームの勝利のことを考えて、今年も機会があれば使いたい。日本人選手でも、打者に応じて使っていきたいですね。特にパワーバッター」と、今後の使用法について説明した。

 ヤンキースのA・ロッドを打ち取ったこともある魔球が、日本でベールを脱いだのは昨年6月18日。広島シーボルを遊ゴロに仕留め、ファンの度肝を抜いた。その後ソフトバンクのレストビッチ、西武ブラゼルと計3度披露したが、相手はすべて外国人だった。

 もともと「ストライクを取るためのボールというわけじゃない」と話すように、試合の流れに変化をつける際や、打ち気にはやる打者の目線を変えたいときに使用してきた。「ムッとしたり、カッとしてもらえたらいい」と、血の気の多い(?)長距離砲助っ人に投じてきたが、昨季並み居る強打者を抑えて本塁打王を獲得したのは、日本人の西武中村だった。ソフトバンク松中や小久保らのほか、楽天には中村紀が加入したこともあり、今年はすべての場面でスタンバイする構えだ。

 もちろん魔球自体も進化させる。「走り込んでいるのでフォームも安定しました。まっすぐを速くしたいです」。左手首骨折の影響もあって140キロ台前半だった直球だが、米時代には最速150キロ超も計測。速さが戻れば、遅球はさらに生きてくる。【本間翼】

 [2009年1月8日9時0分

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