中日落合博満監督(55)が新外国人トニ・ブランコ内野手(28=ロッキーズ2A)の一塁に“合格点”を出した。沖縄キャンプ第1クール最終日の8日、初めての紅白戦に「4番・一塁」で出場したブランコの守備について「うまいじゃん」と評価。自慢の打撃は5打数無安打だったが、課題の守備で指揮官の要求をクリアした。推定年俸30万ドル(約2700万円)の格安助っ人が、早くもスタメン一塁を確定させた。

 ブランコは必死だった。白組の「4番一塁」で実戦デビュー。自慢の打撃は2三振を含む5打数無安打と結果が出なかったが、守備面ではボールに食らいついた。6回、三塁ゴロを森野が捕って一塁へ。送球はワンバウンドになったが、逆シングルでうまくすくい上げた。スタンドから拍手が沸き起こった。

 ネット裏から選手たちの動きをじっと見つめていた落合監督は試合後、ブランコの守備について問われるとにやりと笑った。「うまいじゃん」と“合格点”を出した。長打力を評価しての獲得だけに指揮官は今キャンプの目的として「一塁を守れるかどうか」と話していた。その結果、第1クールのうちにスタメン一塁の方針を固めたのだ。

 ただ、この「うまい」は条件付きでもある。落合監督は続いて「タイロンよりうまけりゃ、うまいんだよ。ハハハハッ」と笑った。確かにブランコはハンドリングの柔らかさ、守備範囲の広さで昨年までの主砲ウッズを上回っているが、現役時代に名一塁手だった指揮官からすれば物足りないレベルかもしれない。その証拠に外野手の和田に一塁守備の練習を命じ、前日7日にはブランコに自らノックを打った。つまり「ウッズ以上」の守備をこれから限りなく「落合未満」に近づけていく作業は必要になるのだ。

 日本での実戦デビューを終えたブランコは攻守に渡って反省しきりだった。「守備では(難しい送球を)一つ捕って、一つ後逸してしまった。打撃でも日本の投手は直球もいいし、変化球のコントロールもいい。これからタイミングを合わせていきたい」。環境の違う日本でのゲームに戸惑いを隠せなかった。

 そして、対策として「これからすべての試合に出たい。そうやってリズムをつかんでいきたい」と助っ人としては異例とも言える開幕までの全試合出場を志願した。一塁スタメンを確定させても慢心はない。ウッズの20分の1にも満たない年俸30万ドル(約2700万円)のハングリーな助っ人は、さらなるレベルアップを目指す。【鈴木忠平】

 [2009年2月9日12時51分

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