<楽天2-1ソフトバンク>◇16日◇Kスタ宮城

 楽天岩隈久志投手(28)がソフトバンク打線を7安打1失点に抑え、今季初の完投勝利を挙げた。初回に先制点を許したが、その後は安定感のある投球で味方の援護を呼び込み、田中に並ぶ5勝目をマークした。チームは故障者続出の苦しい状況で、負ければ今季初の3連敗で首位日本ハムに3ゲーム差をつけられていたが、エースが救った。

 この景色が見たかった。初めて9回を投げきった岩隈の目に、勝利を祝う白いジェット風船が映った。「完投するって宣言してましたからね。気合入ってましたよ」。今年はずっと勝利の瞬間はベンチの控え選手と迎えてきた。だがこの日は、マウンド上で藤井と握手を交わした。次々に笑顔のチームメートが集まってきた。その中心に、達成感に浸るエースがいた。

 かく乱にも慌てなかった。初回、いきなりオーティズに先制の二塁打を許した。打たれた球は、二塁走者本多の三盗を感じて高めに外したボール球。今季2戦目で初めてソフトバンクに与えた点だった。8回にも城所に三盗を許した。「少しノーマークにしすぎた。でも我慢強く行こうと思った」と冷静さを保った。相性のいい相手が動いてくるのは承知の上。接戦の中でも心の余裕があった。

 投げるたびに強くなる。5月に入り100球の球数制限がなくなってから、意識は常に完投に向いている。「全身バリバリに張ってますよ。でも投げないと投げる体力はつかないから」と、体にムチを打つ。昨年、200回を超えるイニングを投げ抜いた経験が、疲労に耐えつつローテーションを守る方法を自然と学ばせた。今季は途中降板が続き、一時は野村監督にマスコミを通じ厳しい言葉を受けたが「期待としか聞こえてないですよ」と笑って返した。信じる道を行けば必ず報われる。昨年手にしたのは、タイトルや自信だけではなかった。

 エースの力投でチームは3連敗を阻止した。2連敗止まりは12球団で楽天だけ。苦しい状況下での好投に野村監督も「この前も完投するって言ってたんだけど、おれが降ろしたんだよ。こういう時にエースがピシャッと抑えてくれるとね。連敗なくなるから助かるよ」と手放しで褒めた。岩隈も「今日負けたらズルズル行って、交流戦もボロクソに負けそうな気がしたから。本当に勝ててよかった」と、ほおを緩めた。前日15日の連敗後、野村監督は「春もこれで終わりだな」とボヤいたが、エースが力を出し続ければチームには再び春がやって来る。【小松正明】

 [2009年5月17日8時39分

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