<阪神7-0オリックス>◇6日◇甲子園

 もう悩みも迷いもない!

 吹っ切れた打線の象徴が猛虎の頼れる新助っ人クレイグ・ブラゼル内野手(29)だ。前夜の初球アーチに続き、この日も4回初球を左前に運んだ。この回わずか8球で5連打を浴びせ3得点。超速攻劇の立役者になった。今季初の先発全員安打で久々の3連勝。積極性が出た攻撃陣を見た真弓監督も“乗せて上げる”「ブラ効果」をはっきり口にした。

 1人の男がチームを変えた。4回裏の攻撃だ。三遊間を破った新井に続き、ブラゼルが打席に入る。当然のように初球を振った。外角いっぱいの直球をバットに乗せ、左前に運ぶ。「とにかくチームが勝つためにやっているんだ」。移籍初アーチの翌日は己を律して、つなぎ役に回った。そして思わぬ副産物が生まれた。他の打者にも、早いカウントから勝負する積極的な姿勢が乗り移る。林や福原にタイムリーが飛び出し、圧巻の5連打で3得点。要した球数はたったの8球だった。

 ブラゼル効果だ。悩み事などないかのように、フリー打撃でブンブンと振り回し、柵越えを連発する。これが眠っていた打線に“命”を吹き込んだ。真弓監督もそう実感した。「確かに昨日のホームランから活気づいている。バッターが積極的になっている。みんながね…」。5、6回にも連打で得点を加算。「あと1本が出ない」と苦しんでいたのが、うそのようだ。今季初の先発全員安打を記録。危なげなく、勝利を手にした。

 ブラゼルには、チームを動かすパワーがある。赤い手袋には、「BIG」の文字が刺しゅうされている。日本での大好物は牛丼。西武時代には、1週間に4度食べたこともある。もちろん、サイズは特盛だ。ゴルフのドライバーを握れば、軽く振って、300ヤードを飛ばす。とにかく、どでかいことをやらなきゃ、気がすまない。

 と思えば、この日のように簡単に脇役にもなれる。ヒーローになった前夜は、ラニー夫人(29)がひき肉と豆をいためた「テキサスチリ」に舌鼓を打ち、新たなスタートを祝福した。ただ食後の皿洗いなど疲れた体でも、家事を率先して手伝った。身重の妻を気づかってのことだ。「犠牲になっても、ヒットを打っても、チームに貢献できるようにやっていくよ」。

 これで今季3度目の3連勝を飾った。7日からソフトバンク2連戦(甲子園)では、杉内、ホールトンとの対決が濃厚。「いい投手が来ると思うが、打線のつながりを大事にしていきたい」と指揮官は気合を入れた。5月だったら苦戦は必至。でも今は違う。真弓阪神には、救世主ブラゼルがいる。

 [2009年6月7日11時30分

 紙面から]ソーシャルブックマーク