開幕投手を務めた中日浅尾拓也投手(24)が交流戦後もリリーフに専念することが15日、分かった。今季は先発ローテーションに入り、交流戦からリリーフにまわった浅尾だが、森繁和バッテリーチーフコーチ(54)はリーグ再開後も浅尾をセットアッパーに固定することを明言。将来的には守護神に育て上げる“育成プラン”を掲げた。中日は、交流戦首位ソフトバンクと16日から金沢、富山の北陸シリーズに臨む。

 浅尾の“ストッパー育成プラン”がスタートする。交流戦も残り4試合となりリーグ再開へ向けて投手陣の再編を考えなくてはならない。2連戦の交流戦では先発は少数精鋭で間に合ったが、リーグ再開後は5連戦が待っている。浅尾が先発要員に戻るのか。大きな焦点だったが、森コーチはリリーフ固定を明言した。

 「浅尾はもう先発することはないだろう。本人がやりたいというので先発をやらせてきたが、適性がリリーフなのは明らかだ」

 3年目の今季、浅尾は初めて開幕投手を務めた。8回1失点の好投で開幕勝利を飾ったが、その後は勝ち星に恵まれず内容も下降線をたどった。先発した7試合で3勝4敗だった。交流戦前の5月17日からセットアッパーにまわると本来の150キロ級のストレートと鋭い変化球を取り戻し、中継ぎに不安を抱えていたチームを救った。

 「昨年から適性はリリーフだと思っていた。今年は本人がやりたいと言うからやらせたが、あいつの武器である速いボール、空振りを取れる変化球が先発だと出せない。将来的にはストッパーもできる選手だと思っている。今は岩瀬がいるが、岩瀬がいるうちに次の選手を育てておかなければならない」

 チームには通算208セーブを誇る不動の守護神・岩瀬がいるが、森コーチは岩瀬が君臨しているうちに後継者を育てる必要があると考える。だからこそ、セットアッパーとして身近で岩瀬の投球術、体調管理などを学ばせる。岩瀬もセットアッパーを経験してから守護神へと成長した。浅尾にもそのステップを踏襲させる。

 浅尾は昨年、北京五輪期間中には日本代表だった岩瀬の代役として抑えを経験している。これまで先発への執着を見せていた浅尾だが、現在はリリーフについて「チームに貢献できる喜びを感じている」と話している。交流戦のラストスパート、そしてリーグ再開へ。次代の守護神候補・浅尾が勝利への架け橋となる。【鈴木忠平】

 [2009年6月16日11時4分

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