<ヤクルト6-5西武>◇21日◇神宮

 もしかして、ひょっとすると、ひょっとする?

 ヤクルトが21日の西武戦で、3試合連続のサヨナラ勝ち。2年ぶりの7連勝で貯金14とし、首位巨人に2ゲーム差と詰め寄った。同点の9回1死満塁から福地寿樹外野手(33)の一ゴロが本塁への悪送球を誘う、ラッキーな幕切れ。交流戦を15勝9敗の2位で終え、26日からは巨人との3連戦(東京ドーム)。独走態勢だったライバルに、待ったをかけるのは高田ヤクルトだ。

 またもや甘い乳酸菌飲料のにおいが漂った。9回、ヤクルトの先頭ユウイチが二塁打を放つと、ベンチ裏では早くも準備が始まっていた。前夜のヒーロー、デントナがミルージュ(ヤクルト製品)を両手にスタンバイする。塁が埋まり、福地の一ゴロを中村が悪送球。3試合連続のサヨナラ勝ちが決まると、勢いに乗って右翼まで走っていった背番号3がナインに追いかけられる。もうかぎ慣れたにおいに「くせえ、くせえ」と言いながら、笑いが止まらなかった。

 8回、五十嵐が勝利へのレールを敷いた。中村との13球に及ぶ勝負を制した。2-2からの5球目を前に、相川が1度マウンドへ。「中途半端なボールだけはやめよう」と確認し合った。最後は外角低めの速球で見逃し三振。続く石井義も三振に仕留めると思わずガッツポーズが出た。21試合連続無失点の球団新記録は相川との緻密(ちみつ)な確認作業から生まれた。快速右腕は「中村のところは、疲れていて、歩かせたらダメだと思った。今日は本当に疲れていた。勝てて良かった」と、ギリギリの勝負をしのいだ充実感たっぷりに振り返る。

 堅実な守りが光った。9回には防御率0・00の守護神林昌勇が、失策から失点し追いつかれた。なおも9回2死満塁。中島の一、二塁間への鋭い打球を田中浩がダイビングキャッチで防いだ。流れが再び戻る。9回先頭のユウイチは「あの場面は相手も1発が嫌だから、外で来る。初球から振ってやろうと思っていた」と冷静にコースを読み切った。連勝中の日替わりヒーローに象徴されるように、1人が派手な活躍をするわけではない。全員で攻撃し、鉄壁のリリーフ陣で守りきる。チームのまとまりが、見えない強さを引き出している。

 クリーニングを担当する高山ランドリーの高山準一社長(63)は、うれしい悲鳴を上げながらにおいの染みついたユニホームを運び出した。「男集団だから言っても無駄だと思ったら、サヨナラの時、お茶とコーヒーをかけるのはダメだというのをちゃんと守ってくれるんですよ」。やかんに入っていたほうじ茶を流し、水を入れてからかけるなど、律義に守る。そんな規律正しさを持った集団でもある。

 吉兆かもしれない。3試合連続サヨナラ勝ちは1978年、95年と過去2度あり、いずれも日本一に結びついている。高田監督は「そうなんだ。そういうのはいいね」と喜ぶ。交流戦をセ・リーグ首位で終え、巨人との差を5月5日以来、2ゲームに縮めた。26日からのリーグ再開で、館山、由規、石川の3本柱を駆使して首位を奪いに行く。【竹内智信】

 [2009年6月22日8時59分

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