<巨人1-6ヤクルト>◇27日◇東京ドーム

 ヤクルトが巨人との首位攻防第2戦で雪辱し、再び2ゲーム差にした。先発した由規投手(19)が8回を投げ、強力巨人打線を2安打1失点に抑え、今季4勝目を挙げた。プロ初完投を逃すも“鬼門の6回”を乗り越え、プロ入り最長イニングを投げた。一方、古巣ヤクルト相手に7連勝中だったセス・グライシンガー投手(33)は6回4失点KOで5敗目を喫した。1勝1敗で、前半戦のヤマ場となる28日の第3戦(東京ドーム)を迎える。

 由規の力投で踏みとどまった。巨人との首位攻防第2戦。前日26日の第1戦で完敗し、この日も負ければズルズル流れがいきかねない中、19歳右腕が巨人の前に立ちはだかった。立ち上がりの1回は全12球真っすぐ勝負で、「興奮していて正直、覚えていないんですけど。初回から気持ちが入っていました」と、気合を前面に出した。

 前日、開幕から8連勝の館山が打ち込まれた。「館山さんでも打たれたんだから、と開き直っていけました」と、強力打線に真っ向勝負を挑んだ。前夜は昨年9月6日にプロ初勝利を挙げた巨人戦のDVDも見直し、いいイメージだけを頭に描いてマウンドへ上がった。

 高田監督が常々「巨人打線を抑えるには力のあるボール」と話していた通り、150キロを超える自慢の直球で攻め続けた。「ブルペンからストレートが走っていたし、持ち味は変化球でかわしていくものではないので。打たれてもいいからという気持ちでいきました」と話した。

 圧巻だったのは、7回2死から李の打席だった。前の打席で、直球を右越えにソロ本塁打されていた。カウント2-2から151キロの直球で空振り三振に仕留め、やり返した。「狙っていました。気持ちよかったです」と胸を張った。

 今年は6回が“鬼門”になっていた。今季8度の登板で、自身総失点19のうち7失点が6回だった。余力がないと判断され、7回のマウンドを託されたのはわずか1度。「初回という気持ちでいきました」と、あえて意識しないことで乗り越えた。

 8回を終え117球。5点リードでプロ入り初完投勝利も見えた。だがボールが抜け出していたこともあって、高田監督は「(この試合を)どうしても取りたかったしね。そのうち、いつでも完投はいけるようになりますよ」と、交代の理由を説明した。由規本人は「球数もそんなにいってなかったので(完投の)気持ちはありましたけど。次にできれば」と、さすがに悔しそうな表情で振り返った。

 由規の好投に打線も応えて、敵地東京ドームでの連敗を9でストップ。首位攻防戦を1勝1敗のタイとし2ゲーム差に迫った。高田監督が「気持ちを切り替えていきます」と話せば、由規も「(この白星で)波に乗れたらと思います」と、再びチームを上昇気流に乗せた。

 [2009年6月28日8時29分

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