<中日5-4阪神>◇6月30日◇ナゴヤドーム

 落とし掛けていた試合を序盤から立て直した。チームを今季初の7連勝に導きもした。陰のヒーローは2回途中から8回まで阪神打線をノーヒットに抑えた、中継ぎ陣の高速150キロカルテットだった。

 6回からの2イニングで3三振を奪い、逆転を引き寄せたのは、ドミニカ人左腕ネルソン・パヤノ(26)だった。6回、最速152キロの直球とキレ味鋭いスライダーでブラゼル、代打桜井を空振り三振に仕留めると、7回にも先頭の狩野を三振で斬り、赤星を併殺打に仕留めて来日初勝利。「きょうは皆でつないだ勝利だよ。初白星は神様のおかげ。ドミニカの両親に伝えたいね」と、はにかんだ。

 パヤノはここまで13イニングを投げ、奪った三振は16個。オープン戦では毎試合四球を出すなど、制球面で不安を抱えていたが、防御率も1・38と、今やチームには欠かせない存在。「アメリカと比べて外角が狭く、内角が広い」という日本のストライクゾーンに慣れてきたことが、この日の好投にもつながった。

 勢いづきかけていた阪神打線を鎮火させたのは、先発山井の後を受け、2回途中から登板した速球派の高橋だ。20日ぶりの登板となったこの日は最速148キロと、大台には届かなかったが、打者4人を完ぺきに抑え「久しぶりでしたが、1人1人集中して投げました」と、汗をぬぐった。

 その後を受けたのがネルソンだ。最速153キロの速球がさえ渡り、4、5回の2回を6人でピシャリ。「チームの勝利に貢献できて本当にうれしい。神様のおかげだよ」と、喜んだ。そして8回のマウンドは、頼れるリリーバー浅尾。先頭の関本に死球をぶつけたが、最速153キロの直球とフォークで後続を打ち取り、守護神岩瀬へとバトンをつないだ。

 パーフェクトでつないだリリーフ陣の活躍に、落合監督も「その通り。本当にその通り。中継ぎ陣がしっかり抑えてくれました」と、この日の仕事ぶりを高く評価。中継ぎ陣はここまで先発陣に比べて安定感を欠いていたが、チームに新たな勝ちパターンがあることを証明してみせた。【福岡吉央】

 [2009年7月1日11時6分

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